コロナ禍でも美容整形はやめられない、危険なセルフ施術に手を出す者も

セルフ施術を施す側の言い分

コンテンツクリエイターの中には、都市封鎖中にセルフ施術を推奨している者もいる。南カリフォルニアで美容室を経営する48歳のYouTuber、ジェニファー・ジョイスは、ヒアルロン・ペンを使っている動画を投稿した。これまで糖尿病用の注射器具として使われていたもので、現在は「針のいらない」リップフィラーの代用品として出回っている。Instagramでは人気だが、昨年末にカナダの公衆保健省から注意を受けた。「肌の美容治療用として使われている針のいらない皮膚充填器はカナダでは認証されていません。健康被害をもたらす危険性があります」と同省は発表した。

ジョイス曰く封鎖中のこの1カ月間で、Facebookグループでのセルフ施術についての問い合わせが増えているという。「Instagramで『自宅待機が終わる頃には10歳若く見えます』という投稿をよく見るわ」と彼女は言う。このようなことを宣伝することは倫理的にどうなのか、と尋ねたところ、仲介料として売上の10パーセントを受け取り、韓国の企業から無料で製品の提供を受けているジョイスは言い訳がましく「みんな大人なんだから、自分のことは自分で判断しないと」と答え、動画でも責任は一切負わないと断りを入れている点を挙げた。「リスクや深刻な危険性があることははっきり伝えているし……どうしても欲しい人はどんな手を使ってでも手に入れようとするわ」

専属エステシシャンのいない、ソーシャル・ディスタンシングを忠実に守って、危険な自宅施術に慎重な人々には、近所のスパやクリニックが営業を再開するまで待つ以外に選択肢はない。実際、フィラー愛好家の多くがその日を切望し、封鎖中にボトックスが切れた状態の自分を犬のシャー・ペイになぞらえたミームをInstagramに投稿している。



だが、封鎖中に大勢の俳優やインフルエンサーがソーシャルメディアにほぼ無修正のすっぴん写真を投稿している中(インスタ顔の代名詞カイリー・ジェンナーですら今は顔つきがまるで違う)、一部の人々は注射針のない生活にプレッシャーを感じ始めている。「顎や顔にボトックスを打たなきゃ、って不安になって来てる。封鎖がどのぐらい続くかにもよるけど、動画を見て(セルフ施術の)やり方をチェックしようかと思ってるぐらいだ」とマーカスも言う。「自宅待機がまだまだ続くようならやるかもしれないけど、まだそこまでは切羽詰まってないよ」

Translated by Akiko Kato

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