松田聖子、新世代の作家陣起用と女性主人公の成長を描いた1984〜88年



1987年4月に発売になった21枚目のシングル『Strawberry Time』。作曲がレベッカの土橋安騎夫さんです、これで21作連続1位ですね。結婚しても出産しても、英語でClub Mixのシングルを出しても人気が落ちなかった。そしてこの曲の入ったアルバム『Strawberry Time』。作家が当時のバンドブームを反映してますねえ。BARBEE BOYSのいまみちともたかさんがペンネームで参加している。それから米米クラブ、小室哲哉さん、ピカソの辻畑鉄也さん、大江千里さん、UP-BEATの広石武彦さん。こういう人達が関わっているんですね。小室哲哉さんはまだTM NETWORKの時、avexで売れる前ですよ。ずっと関わっているのが、大村雅朗さんですね。1985年以前と顔ぶれが一変しました。プロデューサーは松本隆さん。プロデューサーが投げた次の石というのが次の世代ということだったんでしょうね。松本さんが描いている主人公もかなり大人になっていまして、小室哲哉さんが曲を書いた「Kimono Beat」では和服のお見合いを脱出するという設定だったりするんですね。「妖しいニュアンス」という曲には、「女がどう生きるべきかってその考え100年古い」っていう歌詞があったりする。今時黙って従う、そんなの幻想じゃないかと歌ったりしているわけで、松本さんが描いてきた聖子さんというのは変わらずここでもちょっと先を生きているというアルバムですね。そして松田聖子さんはどんな歌でも自分の歌にしてます。このアルバムの後に出たシングルがこちらです。1987年11月発売の『Pearl-White Eve』。



1987年11月発売の24枚目シングル『Pearl-White Eve』。作曲が大江千里さんですね。駆け引きなしの本当にピュアなラブソング、でも大人ですね。「不幸な恋なら前にしたけれど もう一度信じたい」、「かたく閉ざした貝のように生きて来たけど」といういろいろな痛い目や恋の挫折を経験して、不幸と幸福がどう違うかっていうこともわかってきた女性のラブソング。「ピンクのパジャマ リボンほどいて それが私の贈り物なの」。色っぽいでしょう。もうこれは少女の歌じゃないですね。25歳ですから。結婚もしている女性の歌。もうあの頃の私じゃないというラブソング。クリスマスソングですね。そして、こういう「Pearl-White Eve」の大人っぽさがあったから、ここに来たんだろうなあというのが次の曲ですね。1988年5月のアルバム『Citron』、ロサンゼルス録音です。前回のアルバム『SOUND OF MY HEART』は、英語の歌でフィル・ラモーンのプロデュースでしたが、今回はデイヴィッド・フォスターですよ。バーブラ・ストライサンド、セリーヌ・ディオン、ホイットニー・ヒューストン、マドンナ、マイケル・ジャクソンなど挙げればキリがありません。過去にはグラミー賞を15回受賞しているプロデユーサーです。そんな彼が書いた曲で、作詞は松本隆さんです。

Rolling Stone Japan 編集部

Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE