素顔の浜田省吾 水谷公生と紐解く最新ミニアルバム



田家:これも2010年のアルバム『みちくさ日和』の曲ですね。Fairlifeが今まで出した3枚のアルバムの中で、浜田さんが歌った曲を集めてリメイクしたのが今作『In the Fairlife』です。今作に収録するにあたって、それぞれの曲に手は加えられてますね。

水谷:あまりいじってない曲もありますけど、ほとんどの曲はドラムやパーカッションのサンプリングの音が新しくなっています。半分くらいは全面的に変えた曲ですね。「てがみ」はほとんど変わってないんです。元々ピアノとチェロだけの伴奏で、書き譜でガッチリ固めていて、別のモノを入れるとぐちゃぐちゃになってしまうんですよ。今回間奏だけにエレクトリックのパーカッションが入ってるんですけど、ベルリンに住んでいることを思い出して入れたんです。

田家:ベルリンにいる時のことを思い出したんですか。

水谷:結構煮詰まっちゃったんですよ。何か加えるとめちゃくちゃになるし、これ以上は引けないし。それで悩んでスタジオを出たら、空がすごい綺麗な夕焼けだったんです。その時に、ベルリンにいたらどんなアレンジするんだろうって思ったんですね。その発想の転換をした時に、向こうでは現代アート的な音楽をやっていたことを思い出したら、一瞬で閃きました。8時間考えて何も出なかったのが、スタジオに戻って20分くらいで全部解決できたんです。

田家:なるほど。ベルリンを思い出すとこういうアレンジになると。

水谷:ベルリンは日本の3倍くらい空気がゆったりしてるんです。だからベルリンに住んでる人が日本に来るときは、3週間いてくれっていうんですよ。大体、旅行って1週間くらいじゃないですか。でも、向こうが3倍ゆっくりしてるから、3倍の時間滞在しないと日本の良さは分かんないだろうなって思って。

田家:日本人が慌ただしいっていうこともあるでしょうしね。

Rolling Stone Japan 編集部

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