お互いの影響源について
ー最初に衝撃を受けたアルバムは何でしたか?
ウェイン:ジェイ・Zの『ライフ&タイムス・オブ・ショーン・カーター』だ。単純明快。あのアルバムがはじめて、ジェイ・Zが話に出してる車を実際に買ったやつだった。もはや自分のためのアルバムだと思ってる。それに、ジェイの口ぶりはマジでいかれてた。あのアルバムじゃ彼はどうかしちゃってるくらいやばかった。あのアルバムのリリックを引用して自分にタトゥーしたりした。あのアルバムに入ってる曲のスピンオフをリメイクした曲も作ったよ。
ベイビー:思い出せないな。いつもラップして、みんなの曲をリミックスして、歌詞を変えて歌っていたから。レコーディングブースに入っていくときのプロセスはとにかくハードにいくことだけ。考えることすらしない。頭にあるのは、「このビートでやれるだけハードにかまそう」ってことしかない。
ウェイン:俺のアプローチはちょっと違ってる。その曲は誰に向けたものか、その曲はどんなことを題材にしているかを知っておきたい。その後で、俺もリル・ベイビーみたいなモードに戻っていく。つまりブースに向かって言って、一発かますんだ。俺がまさいまいる場所にたどりつけたのは、つまるところ、人を感動させようと常に挑戦してきたからだ。曲をくれたのが誰であれ、まず考えるのはそれだ。送り返すときも、その人に感動してもらいたいし、単に素材が戻ってきてよかったってだけじゃないのがいい。喜んで欲しいだけなんだよ。
ーふたりとも、とてもメロディアスなスタイルを持ってますよね。ラップミュージック以外の影響源は何ですか?
ウェイン:まず挙がるのはミス・アニタ・ベイカーで、あとミッシー・エリオット。ミス・エリカ・バドゥ。がらっと変わって、スマッシング・パンプキンズ、ニルヴァーナ。ナイン・インチ・ネイルズ。311。こういう感じかな。みんなが作ってるものを聴くようにしている。俺たちみんながまだ同じ戦いを続けているっていうのを確認するためにね。誰の音楽でも聴くよ。
ベイビー:ヴァイブがあるものだったらなんでも。R&Bであり、ソウルミュージックであり、感じるところがあるもの。
ウェイン:ちょっと一服するから、音でおすそわけしよう。
ベイビー:集中し続けること(は大きなチャレンジだ)。集中し続けないと。いまじゃ失うものがたくさんできたから。最近は俺がたくさんの人びとを養っている。俺にとってはきついチャレンジだよ、気が散ることなんかがたくさんあるから。だから俺にとって重要なことっていうのは、自分の金を正しく管理することだ。
ウェイン:俺にとって一番やりがいのあるチャレンジは、完璧な――完璧なんてことがあるならだけど――父親であろうとすることだろうな。3人の息子と美しい娘の父親にね。チャレンジは大好きだ。