TOMORROW X TOGETHERロングインタビュー完全翻訳「僕たちの音楽でしか語れない物語を伝えたい」

BTSの作品が若者と社会の関係を掘り下げたのに対し、TOMORROW X TOGETHERは成長の過程そのものを吟味することを目指し、人生の中でも人格形成に重要で、後から振り返ればまるで夢のような時期に頭から飛び込んだ。それは新鮮で、私的で、力強く、メタファーや想像力を盛り込んで、1人の若者の視点で人生の新たな側面を示した。「僕たちはいつも、自分たちの音楽でしか語れない物語を伝えようとしてきました」 メッセージ性について、ボーカルのTAEHYUNはこう語る。「ですから、僕たちがティーンエイジャーの視点で成長の物語を描いたのはごく自然な流れだったと思います」 ボーカルのBEOMGYUはさらにこう説明する。「僕たちの音楽はつねに、自分たちも含め、今を生き抜く若者が主人公です。僕たちも駆け出しの時は10代でしたから、初期の作品では人生の中でも複雑で混乱に満ちた時期を生きるティーンエイジャーがテーマでした」 TXTのメッセージは普遍的でありながら、完全に独特だ。

複数のチャプターに分かれるTOMORROW X TOGETHERのアルバムは、それぞれ成長の異なる側面を切り取りつつ、幻想的なビジュアルの世界へといざなう。最初はイマジネーションや成長の痛みにまつわる純真無垢なテーマからスタートした――ファーストEP『THE DREAM CHAPTER: STAR』とリードシングル「CROWN」は、新鮮で、陽気で、若さにあふれ、友情や自己発見の物語を掘り下げ、若者の視点から世界をとらえた。セカンドアルバム『THE DREAM CHAPTER: MAGIC』とリードシングル「 9 and Three Quarters (Run Away)」では次の段階へ。高校へ進み、友情/恋愛も複雑になり、世界を理解する中で、現実逃避の必要性は依然にも増して困難になった。また10代の子たちにありがちなように、このアルバムも世界のポップカルチャーから多くを引用して中核を形成した。『THE DREAM CHAPTER』シリーズ第3弾にあたる『ETERNITY』ではさらに人生の暗い側面に目を向けた。青春の殻を破り、壊れた友情やいさかい、自分探しの旅、さらには不安や別れや死といった恐怖などの現実に対峙した。ショートホラーフィルム形式の「Eternally」のミュージックビデオは夢と現実の境界を曖昧にしてこうした心の旅を見事に描き出し、若者の胸の内と感情が成長するさまを19分にわたって描いた。



「彼らは身体的にも精神的にも変化していきますが、他のティーンエイジャーもやはり彼らと同じような気持ちなんです」 ミュージックビデオの中でメンバーが演じるキャラクターについて、BEOMGYUはこう語る。「10代のころは人間関係や友情を築き、ともに夢を追いかけます……だから『THE DREAM CHAPTER』なんです」 アーティストとして次の段階の『The Chaos Chapter』に突入すると、TOMORROW X TOGETHERの作品は最新EPとともに新たな展開を迎えた。「そして今度は『The Chaos Chapter: FREEZE』です。ここでは少し成長したティーンエイジャーが、現代の様々な問題に直面する姿を描いています」とBEOMGYUはさらに続けた。「成長についての普遍的な物語です。このアルバムはきっと世界中の若者の皆さんの胸に響くと思います」。

『The Chaos Chapter: FREEZE』では、"大人"に差しかかった若者が現実世界で様々な感情を経験する姿を描いている。若者は未熟で、おびえている。後戻りはできないが、この先築いていく人間関係を通して逃げ場を見つけ出せるだろう。「『THE DREAM CHAPTER』シリーズは、仲間との間でアイデンティティを見つける少年の姿を追った青春の物語です」 この時代と最新の時代の関係について、SOOBINはこのように語る。「『The Chaos Chapter: FREEZE』の主人公は、世界の惨状で生活からあらゆる日常性が失われていく中、恐れと虚しさを抱いた少年です。この物語では、少年は自分にとって特別な存在を見つけ、“愛”という感情を発見するんです」 もちろん、コロナウイルス感染拡大とそれに伴う生活の混乱もこのアルバムの主要なテーマのひとつだ。人類全体として、また個人として、自分たちの存在意義を問いかけている。ラッパー兼ボーカルのYEONJUNはアルバムの記者会見でこの点についてさらに追及した。「みんなそれぞれ日常生活を送っていますが、日常が揺らいだことで少年は無力に感じ、何もできなくなってしまうんです」 一部の楽曲はこれまでのアルバの流れを引き継ぎ、フィクションの物語をさらに展開して成長の過程を描いている。「밸런스 게임 (What if I had been that PUMA)」は『THE DREAM CHAPTER: ETERNITY』の楽曲「동물원을 빠져나온 퓨마 (PUMA)」を思い起こさせるし、「No Rules」は『THE DREAM CHAPTER: MAGIC』の「New Rules」を反映している。

Translated by Akiko Kato

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