尻に注射を打って殺害、犯人の母娘は無罪主張 米

左からアリシア・ガラス被告とリビー・アダム被告(Los Angeles Police Department)

違法な豊尻術でカリッサ・ラジポールさんに注射器でシリコンを注入、死亡させたとして、殺人罪に問われていたリビー・アダム被告と娘のアリシア・ガラス被告が初めて2人そろって米カリフォルニア州の裁判所に出廷した。現地時間2日の審問では罪状認否が予定されていたが、両被告とも罪状認否を行わなかった。2人は殺人罪に加え、無許可で医療措置を行った重罪に問われている。

【写真】おびただしい数の注射器と薬品類、いずれも逮捕時に押収されたもの

アダム被告の弁護人を務めるJ・マイケル・フラナガン氏は、弁護団としては1000ページ近い開示書類を検証したうえで、場合によっては訴答不十分の抗弁を申し立てたい、とローリングストーン誌に語った。訴答不十分の抗弁とは、起訴の正当性に対して正式に異議を申し立てるもので、罪状認否の後に申請することはできない。「いったん無罪の抗弁をすると、訴答不十分の抗弁の可能性が排除されてしまいます」と弁護士は述べた。

ロサンゼルス郡検事局のリー・セルノック検事補は審問の中で、開示書類の保護命令を申し立てたと述べた。検事は審問のあと、保護命令の理由について詳しく語ることはせず、「ノーコメント」とだけ述べた。両当事者は3月3日にあらためて罪状認否を行うことで同意した。

過失致死罪に問われたマイケル・ジャクソンの医師コンラッド・マレー氏や、無免許運転の軽罪で起訴されたブリトニー・スピアーズの弁護を担当したフラナガン弁護士は、アダム被告の事件を「過剰起訴」と評した。「検察は殺人罪で起訴しましたが」と、彼は審問後にローリングストーン誌に語った。「殺人罪を問うには殺意がなくてはなりません。道理をわきまえた人間なら、彼女に殺意があった、あるいは危険だとわかっていたことをする意思があったとは思わないでしょう」

2021年8月の起訴状では、アダム被告とガラス被告が2019年10月15日に「違法に、かつ悪意をもって計画的に、カリッサ・ラジポールなる人物を殺害した」という主張がなされている。ロサンゼルス警察署が発表した逮捕に関する報道声明によれば、2人の女性はラジポールさんの臀部に「無処理の液状シリコン」を注射して「違法な豊尻術」を行った。ローリングストーン誌が取材した専門家いわく、こうしたシリコンは血栓のように血流を流れ、突然死に至る可能性もあるそうだ。ラジポールさんの検視報告書によれば、救命士が到着した時にはすでに生体反応がなかったという。警察の報告書には、アダム被告とガラス被告は救命士に事情を説明することなく、現場から逃走したと記されている。

Translated by Akiko Kato

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