PassCode初武道館公演 生き様と魂の集大成で見せた「通過点」

PassCode Photo by Viola Kam (V’z Twinkle)

2016年10月のメジャーデビュー以降、SUMMER SONIC、JOIN ALIVE、百万石音楽祭など多くの大型フェスに出演し、幅広い層のオーディエンスから支持を獲得してきたPassCodeが、2022年2月12日(土)、自身初となる日本武道館公演を開催した。ここでは阿刀“DA”大志によるオフィシャルレポートをお届けする。

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ライブ中盤とアンコール中に流れた幕間映像で、PassCodeが生まれた大阪・堺の町と、小さな町工場の2階にある彼女たちの所属事務所が映し出された。お世辞にもキレイとは言えない内装で、事務所内には電話ボックスをひと回り大きくしたような手作りのレコーディングブースやPassCodeのサウンドプロデューサー平地孝次の作業場などを4人のメンバーが見て回り、家庭用のレトロなテーブルを囲んで談笑した。PassCodeはここから飛び立っていった。堺から大阪市内、東京、全国、そして世界へ。いわゆる地下アイドルと呼ばれるちっぽけなグループがいつの頃からか日本を代表し、シーンを牽引する存在へと成長を果たした――。

2月12日に開催されたPassCode初の日本武道館公演は、結成から10年近い年月を駆け抜けてきた彼女たちにとって大きな意味を持つものだと多くの人々は考えていた。実際、このロックの殿堂は数多くのバンドやアーティストにとって最終到達点であり、何年かけてでも立ちたいステージである。しかし、PassCodeは違った。

もちろん、ちょうど2年前に本公演を目標に掲げ、そのために技術と精神とチームワークを磨いてきたことは間違いない。それでも彼女たちはこの場所を明確に通過点として認識していた。つまり、彼女たちはこの日を記念日的なライブにしなかった。一夜限りのパーティーにしなかった。自分たちの力を信じているだけでなく、経験に裏打ちされた客観的視点で判断した結果、自分たちはまだまだ先へ進めると見たからこその<通過点>なのである。

これはコロナ禍が彼女たちに与えた数少ないポジティブな影響のひとつなのだが、観客が声を上げたり、モッシュやダイブができなくなって、フロアと従来の魂の交換ができなくなった代わりに、彼女たちは己のパフォーマンスの向上に注力した。ストイックに努力を積み重ねた成果はこの2年間に繰り広げてきたライブでも十分感じられたし、この日のステージはその集大成と言えるものだった。

演出はド派手を絵に描いたようなものだった。ステージに設置された巨大LEDスクリーンが上下に割れ、その間からメンバーが姿を現したオープニングナンバー「MISS UNLIMITED」にはじまり、10基に及ぶファイヤーボール、激しく吹き上げるスモーク、おびただしい数のレーザー、フューチャリスティックなVJ映像、観客全員に配られた光るリストバンド、そして「Anything New」と「Ray」で登場した10人編成の弦楽隊など、PassCodeの世界観を増幅する演出がふんだんに盛り込まれた。しかし、それらの大掛かりな仕掛けに決して見劣りしないステージングを4人は見せた。いや、むしろ今のPassCodeに見合う演出がこれだったと言うほうが正しいかもしれない。それぐらい彼女たちのパフォーマンスには華があったし、シーンのトップに立つクイーンとしての風格すら見せつけていた。念のために言っておくが、新メンバー有馬えみりが加入してまだ半年である。どれだけの鍛錬を積み重ねてきたのか常人には想像し難い。


Photo by KOH MAJIMA


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Photo by Viola Kam (V’z Twinkle)


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