PassCode初武道館公演 生き様と魂の集大成で見せた「通過点」

畏敬の念や感謝を伝えるオーディエンスの拍手

セットリストも素晴らしかった。南菜生が中心となって組み上げ、新旧の代表曲を散りばめつつも、PassCodeの今を詰め込んだ。この日のために長い間封印していた人気曲「MISS UNLIMITED」からインディーズ時代の代表曲「Toxic」を畳み掛ける展開に、古くからのファンは興奮と感動で発狂したはず。ずっと小箱でやっていたあの曲を武道館で聴ける日が来るなんてな――。この日のために制作された黒の新衣装(ライブ後半では白の新衣装も登場)に身を包んだ4人は興奮で湧き上がるフロアの熱を真正面から受け止めながら、華やかに舞い、歌い、そして叫んだ。

最初のブロックが終わると、新型コロナウイルス感染対策の公演ガイドラインに従い、徹底した感染対策が施されるなか集まった規定最大となる5000人もの観客から大きな拍手がステージに向けて送られた。それは南が話を始めるまでいつまでも鳴り止まなかった。そこには「よくぞここまで辿り着いた」という畏敬の念、「武道館まで連れてきてくれてありがとう」という感謝など、様々な思いが込められていたはずだ。

PassCodeという集団は一人ひとりの個性がはっきりしていて、パフォーマンスの特徴もわかりやすい。それゆえ役割分担のようなものが自然と生まれていたのがこれまでの彼女たちの姿だった。しかし、有馬えみりが加入した約半年という短期間に急ピッチ、かつストイックに取り組んだスタジオ練習は4人の結束をより固いものにし、4人バラバラではなくPassCodeというひとつの個としての表現へと昇華していた。これまで煽りを担当するのは南がメインだったが、有馬が彼女とユニゾンで「揺らせ!」と客席に呼びかけたり、いつもは歌の芯を支える大上陽奈子が南のように歌にアレンジを加えて叫んだり、ふわふわした雰囲気が魅力の高嶋楓がこれまでになく落ち着いた喋りでMCをしたり。そんなふうに4人の表現が融合しているような場面が度々見受けられた。


Photo by Shingo Tamai


Photo by Shingo Tamai


Photo by KOH MAJIMA


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Photo by Viola Kam (V’z Twinkle)


Photo by KOH MAJIMA

南はアンコールラストに披露した「It’s you」のイントロが鳴るなか語った。「努力は必ず報われるなんて一度も思ったことはありません。努力だけではどうにもならないことがあることをたくさん知りました。でも、PassCodeを信じ続けてくれたチームがいたから、バンドがいたから、メンバーがいたから、そしてあなたたちがいたから、今日こうしてこのステージに立っています」と。これはあらゆる困難を乗り越えてきたからこその言葉だった。

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