著名人に対する警護緩和の影響もカナダやイギリスを中心に活動し、現地で暮らすシーク族から絶大な人気を得て、チャートにも度々ランクインしたシドゥは、ステフロン・ドンやMIST、スティール・バングレスといったイギリス人アーティストともしばしば共演した。
ごく最近では、2月に行われたインド州議会選挙で3万6000票を獲得(得票率2位)。ボリウッド映画界にも進出し、インドでもっとも有名なエンターテイナーの座を確立した。
彼の死により、インド国内では対立政党間で非難合戦が勃発。殺人が起きたのはパンジャブ州与党の責任だという声が高まった。
「本日、州が手を貸した殺人事件で、パンジャブ出身の若きシンガーのシドゥ・ムース・ワラが銃殺された。この責任は完全に庶民党(AAP)州政府にある」と、国内与党のインド人民党(BJP)広報担当者は発言した。
パンジャブ州政府は28日、治安部隊を他に回すべく、複数の著名人に対する警察の警護を緩和することを発表した。のちに警護が手薄になった人々の名前がリークされ、今回の措置で著名人が攻撃の危険にさらされたという批判が相次いだ。
シドゥも最近警備を解除された、または規模を縮小された政治家122人の1人だった。パンジャブ州の警察当局が確認したところでは、シドゥには依然武装した警備員が2名配備されていたが、29二位tはあえて警護なしで移動していたそうだ。
事件の後、シドゥが搬送されたマンサ病院には群衆が集まり、州政府に対する抗議デモが勃発した。
「将来有望な政治家で、才能あるアーティストのシドゥ・ムース・ワラが殺されたことに、深い衝撃と悲しみを覚えます」 ムース・ワラの訃報を受け、インド最大政党の指導者であるラウル・ガンディ氏もこのようにツィートした。「ご親族や世界中のファンの皆さんに心からお悔やみ申し上げます」
2021年12月、シドゥはガンディ氏率いる政党に入党。社会制度を内側から変えることが出来るという思いから政界入りを決意した、と発言した。
「地位や名声のために政界入りするわけじゃありません」と、入党した日に彼はこう語った。「僕は制度を変える一員になりたい。人々の声を届けるために議会に参加するのです」
from Rolling Stone US