トーべヤンソン・ニューヨーク(TJNY)のギタリスト、アートディレクター/グラフィックデザイナー森敬太による連載第12回。「高橋一生と間違えられた人気DJ」事件の真相のほか、本誌ではお届けできなかったエピソードを加えて、増量版をお届けします!(2022年5月12日収録)
座談会参加者
森敬太(ギター担当、グラフィックデザイナー)/オノマトペ大臣(ラップ担当、サラリーマン/ラッパー)/西村ツチカ(ギター担当、漫画家)/澤部渡(ドラム担当、ミュージシャン)/唐木元(ピアノ担当、ミュージシャン)/玉木大地(キーボード担当、プログラマー)/金子朝一(ボーカル/ホイッスル担当、ライター)/mochilon(ベース担当、ミュージシャン)/tofubeats(名誉メンバー、音楽プロデューサー)
※この記事は2022年6月24日発売の『Rolling Stone Japan vol.19』に掲載されたものに、加筆を加えたものです。
・余生だよ
森:tofuくんの日記本おもしろかったよ。でもさ、交通事故目撃しすぎじゃない? 異常な頻度だよ。事故が日常に溶け込みすぎてて不安な気持ちになったよ。
tofu:昨日も見ましたからね。官邸前で。
澤部:tofuくん普段車移動でしょ? 車乗ってると見るんですよ結構。僕も子どもの頃、交番に置いてある昨日の事故件数みたいな看板見て、そんな数の事故が起きているわけないと思ってたんですけど。
大臣:運転免許もってない人間は視野が狭いんですよ結局。
tofu:特にタクシーの事故めっちゃ見ますね。すいません、いきなり話が脇道にそれちゃって。
大臣:話と車は脇道に逸れますからね。
一同:(笑)。
森:大臣、すぐそういうの言うよね(笑)。
大臣:いま言おう言おうと(笑)。
玉木:前のめりになってましたもんね。
森:みんなも元気? 事故とか入院と距離保ててる?
澤部:僕リングフィットアドベンチャー始めました。
西村:僕もやってますよ! 月に1回ペースで。
森:気ままな生き方だね。
大臣:あのガッキーもやってますもんね。
金子:CMですよ(笑)。
森:目がピュアすぎて怖いよ。澤部くんはどれくらいやってるの?
澤部:僕は1日3〜40分ぐらいですね。
西村:すごいやん。
森:やばいね、痩せちゃうんじゃないの?
澤部:痩せちゃうかもしれないですねー。どうしよ。
金子:困っちゃうな~。
澤部:モテちゃうよ~。
一同:(笑)。
大臣:あれしんどいの?
澤部:しんどいっすよ。足上げる動作とか要求された時、身体のスペック的に人間の外にいるなと再認識させられるんですよね。
森:でもさ、足上がってなくてもさ、ゲームにはバレてないわけでしょ。
澤部:見られてはいないんで。所詮センサーなんでね。チョロいですよ。
森:唐木さんのNY生活は最近どんな感じなんですか?
唐木:釣り。
澤部:ちょっと待ってよ! 二文字で済まさないでくださいよ(笑)。
金子:音楽は? 音楽。
唐木:音楽活動全然やってないもん。釣りしかしてないよ。
森:何で? 教会が燃えたの?
唐木:ちょっとね……。友達とケンカしちゃってさ……。
一同:(笑)。
澤部:悩みが若々しすぎる!
大臣:ハイティーンの顔してますね!
森:友達とケンカしたら音楽活動が全部止まるってどういうことだよ(笑)。友達全員とケンカしたってこと?(笑)。
大臣:すごい脆弱なネットワーク。
唐木:ほんとそんな感じなんだよ。1年半ぐらいずっとメインで組んでたドラマーの奴がいて、仕事もほとんどそいつと受けてたんだよ。もう二人一組みたいな感じで。
澤部:SURFACE状態ね。
森:なんでケンカしたの? 金? 恋? 魚?
唐木:いい感じだからレコーディングしようとしたんだけど、すごい簡単に言うと金がないのよ。向こうが。スタジオのエンジニア代とかも払えないし、仕事入っててレコーディングする時間も取れない状態で。だったら、もう俺が金出すから録ろうよ。ただ、もし俺が費用全部出すなら、権利は俺がもらうよ、と。そしたらすごい荒れちゃって。
もち:あー。わからんでもない話ですね。
唐木:そいつからしたら、金が出せないっていう不甲斐なさと、だったら権利渡せっていう俺の言い方にムカついちゃったのもあったみたいで。急に着信拒否されちゃってさ。
森:いよいよ高校生の揉め事感が最高潮に高まってきたぞ。
唐木:それでさ、もうあいつのことなんか知らないよ!とかって言ってたんだけど、この1年半、そいつを通してしか仕事してなかったことに気がついちゃって。
一同:(笑)。
森:やばいじゃん、友達つくるところから始めないといけないじゃん。
唐木:そいつも俺も下手なのがよかったんだよ……。
澤部:またまた~、ご謙遜を~。
唐木:下手同士で相性が合ってくっついたというか……。
澤部:まぁ、そういうのはあるよね。
森:未練タラタラじゃん(笑)。
一同:(笑)。
森:まだ好きなんじゃん!(笑)。
唐木:だから共通の知り合いに連絡取って、そいつの様子を聞いてもらったりして……。
一同:(笑)。
tofu:解決法が若々しい(笑)。
澤部:もう完全に高校生(笑)。恋してる顔だよ!
一同:(笑)。
森:「あいつ、俺のことなんか言ってた?」(笑)。
澤部:甘酸っぱくなってきたぞ!
大臣:「俺のこと好きって言ってなかった?」。
一同:(笑)。
森:どうしたらいいのかね、唐木さんは。
唐木:いいよ、もう何にもしたくない。だから最近釣りしかしてないの。
森:釣りはトラブルなくできてんの?
唐木:釣りはね、夜中に誰とも会わないとこに行ってるから。本当に人ひとりいない原野みたいなところがあって。
森:それ入ったら頭撃たれるところじゃないの?
唐木:アーバンフィッシングに別れを告げて。本当に真っ暗なんだよ、闇夜。
森:そんなプリミティブな釣りに回帰していってるんだ。ティーンのマインドを抱えながら。
唐木:街灯ひとつないし、人も来ない。もちろん前話した釣りギャングも来ない。事故ったら本当に終わるなって思いながらやってるよ。
森:釣れないんじゃないの? 誰も釣ってない場所なんて。
唐木:すごい釣れてるよいま!
玉木:腕はありますもんね(笑)。
唐木:詳しくはInstagramのアカウント「rootsyfishing」で……。
一同:(爆笑)。
森:そんな考えたら分かりそうなアカウント名で活動してたんだ(笑)。
澤部:知らなかった~!
tofu:何このアカウント! 変ですよ!
もち:真っ暗なところで魚持ってる写真しかない。
大臣:思ってたのの3倍くらいの大きさの魚抱えてますね。思ってたより暗いところで。
もち:釣りアカから「Legend!」ってコメントされてる(笑)。
澤部:人生はわからないですね。バークリー出て釣りでレジェンドになるなんて。
唐木:あ、ごめんちょっといまジャム煮込んでて……。
森:なんなのあの人。
大臣:生活に凄みがありますね。
金子:心配する隙がないぐらい異常ですよ。
西村:原始人みたいですね。魚採って木の実を煮て。
唐木:ジャムって奥深いんだよ! 今日はマーマレード作ってるの。まずベリー系から始めたんだけど……。いやもうだから、俺の人生終わってるんだよ!
全員:(爆笑)。
森:話聞いてて、この人余生に突入してる!って思ったもん(笑)。
唐木:ほんとそう。完全に余生だよ。
玉木:それにしても世捨て人の方向に寄せすぎてないですか?
唐木:でもドラマとかも観てるよ。「ニューヨーク恋物語Ⅱ」。
森:この人日本でできることしかやってないじゃん!
澤部:いやでも、僕も忍び寄る余生の気配感じてますよ。バンドメンバーで集まると昔の話と健康の話ばっかりしちゃう。
一同:やだ~!
森:駄目じゃん駄目じゃん!
tofu:余生じゃん!
澤部:やだ! 余生やだ!
大臣:うんこの話とかしてよ!
森:大臣は変わりなくやってんの? 人生終わってない?
大臣:始まったばかりですよ。
tofu:相変わらず朝の4時からサウナ行ってるんですか?
大臣:それがね、いきつけのサウナが潰れちゃったのよ!
tofu:大臣のワークライフバランスに大打撃じゃないですか!
西村:サードプレイスが!
大臣:だからいま困ってて。みのりの湯閉館以来、いろいろ行ったんですけど、なんかあんまりしっくりこなくて。だからいまはウォーキングしてますね。オーディオブックを3倍速で聞きながら。
一同:(笑)。
澤部:さすが小津安二郎を倍速で見る男。
森:3倍速ってかなり速いもんね。
大臣:もうゲロ吐く寸前ですよ。
一同:(笑)。
森:速く聴きすぎて吐くことってあるんだ(笑)。
金子:脳が拒絶するんですかね(笑)。
大臣:いろいろ試したんですけど、3.2倍いくとゲロ吐きますね。
森:すごいピーキーなところ攻めてるじゃん(笑)。朝4時のサウナ習慣はちゃんと体から抜けたの?
大臣:正直いまでも欲してますね……。ただ、24時間やってる銭湯って意外と少ないんですよ。他の銭湯行っても、夜2時までに出てくれとか言われて、なんだよまだ2時じゃねぇかって思ったりして。
森:完全に「もう2時」だけどね。
玉木:それで朝は普通の時間に出社してるんですか? 大丈夫ですか?
もち:血管切れますよ。
森:大体みんなの近況がわかってきたけど、なんか全体として余生に向かいつつあるな、集団が。まずいよこれは。何か対策は無いのかな……。
もち:バンド活動ですよ!
澤部:強い言葉だな!
大臣:その手があったんだ……。
一同:(笑)。