ケプラがKALMAとのリベンジ公演で魅せた、成長と進化を同時に遂げた勇姿

ケプラ

ケプラが8月19日に渋谷WWW Xにて「コロンブスツアー」を開催した。本公演はもともと東名阪をまわるツアーの最終公演として7月に予定されていたが、メンバーの新型コロナウイルス陽性反応が確認され、残念ながら延期。仕切り直してのリベンジ公演となった。

まず登場したのは北海道出身、3ピースバンドKALMA。「カッコいい後輩が呼んでくれました!」と畑山悠月(Vo/Gt)が大声を上げてライブはスタート。序盤から「くだらん夢」、「モーソー」に「これでいいんだ」と飾り気のないストレートなロックナンバーを連投し、会場を埋め尽くす満員のオーディエンスも高く拳を掲げ、その膨大なエネルギーにどんどん感化されていくのだ。高まる熱気の中、時折マイクから外れるぐらいの勢いで畑山は歌い叫び、その瞬間に湧き出る感情を燃やしていけば、斉藤陸斗(Ba)と金田竜也(Dr)も一体となり支えていく。

また、ようやく実現できた2マン。募りに募った想いがあるのだろう。畑山はケプラと出会った曲だという「おねだり」の一節を思わず歌ったり、「普段は可愛い4人。楽器を持ったらカッコいい4人」とケプラを称したり、愛情が滲み出る場面も印象的だった。



そして、そんな熱演に大きな刺激を受けたであろうケプラは、口火を切る「うわごと」から血気盛んに突っ込んでいく。飛び跳ねながらも繊細なフレーズを奏でるGt.けんた、しなやかに音を紡ぐBa.かず、どっしりと力強くショットを繰り出すDr.ハヤト、中心にはハイトーンを高らかに響かせるVo.柳澤律希という盤石の体制。プレッシャーを跳ね除けるように4人がひとつとなり、ステージ上で躍動。いつものケプラのスタイルだ。

けんたに誘われるように大きなハンドクラップが起こった「YOUTH」では絶妙な浮遊感と抜けの良いメロディーが響き渡る。この春に高校を卒業したばかりの彼らが注目されたのは見過ごしがちな日常を大切に抱きしめ、等身大の言葉で歌詞を綴っていることも大きいが、メロディセンスも秀逸。さらりとしてるようでしっかりコクがあり、グッと心を鷲掴みにされてしまうのだ。当然、オーディエンスも歓喜していき、どちらかと言えばクールに歌い上げる柳澤から笑みが溢れ、「最高だぜー!」と叫ぶほどの盛り上がり。序盤からいいスタートダッシュを決めていく。

小気味良いテンポ感とサビのビッグコーラスが惹きつける「デイズ」、メンバー全員で「1、2、3、4!」と大きなカウントし、オーディエンスを引っ張っていった「くしゃみ」と続け、「KALMA先輩を東京に呼び出した生意気な後輩です」と柳澤がおどけつつ、最近のライブで披露し始めた新曲「グランピー」へ。ショートチューンながらも心躍るメロディーに冒頭から<白馬の王子へ劣等感>と綴る少年のような青い想いが胸に響く。背伸びせず、素直に感じたことを歌う彼ららしい仕上がりだった。

曲を彩るけんたのフレーズも鮮やかだった「百獣の唄」から、柳澤が「ホントはセトリに入れる予定じゃなかった曲を」と話して披露したのは、まだタイトルもない新曲。ピンスポットを浴びた柳澤がゆったりとギターを鳴らしてハリのある声で願うように歌い出す。まるでアコースティックで奏でるように一音一音を紡ぎ、会場の隅々まで浸透させていく様は実に美しかった。

Rolling Stone Japan 編集部

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