BABYMETALライブ再始動、「熱狂空間」で見た「新たな日常」

BABYMETAL(Photo by Taku Fujii)

BABYMETALがライブ活動を封印させてから早1年と数カ月が経過したが、その解除のタイミングはあまりにもドラマチックなものだった。奇しくもライブ前日の1月27日、政府が新型コロナウイルスに対する基本的対処方針を改定し、感染防止に向けたイベントの人数上限を撤廃。マスク着用の状態であれば大声を出しての観覧も可能となったのだ。

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この決定を受け、各自治体との協議により1月28日、29日に幕張メッセ国際展示場ホールで実施の『BABYMETAL RETURNS - THE OTHER ONE -』はオーディエンスの“声出し”可能ライブへと急遽変更。BABYMETALのライブ再始動の場は、これも偶然とはいえ彼女たちが最後に行った国内での“声出し”ライブでもある2020年1月の「METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN EXTRA SHOW LEGEND - METAL GALAXY」と同じ会場となった。

国内での“声出し”可能ライブは実に3年ぶり、コロナ禍に実施された『10 BABYMETAL BUDOKAN』から数えても2年近くが経過しようとしていた2023年1月、BABYMETALはコンセプトアルバム『THE OTHER ONE』(3月24日発売)の完成とともに我々のもとへと帰還した。会場へ入ると、まず目につくのが客席を挟む形で用意された2つのステージセットと、そのステージをつなぐ1本の花道。そのスケール感の大きさに「あのBABYMETALが帰ってきた!」と興奮を隠せないオーディエンスも多かったことだろう。かくいう筆者も、この予想外のステージ構成に「どんなステージが展開されるんだ?」とワクワクしたものだ。

開演を告げるアナウンス後、フロアからは大歓声と盛大なクラップが湧き起こる。この感覚も本当に久しぶりで、最初こそ動揺したものの、会場が暗転してフロアの熱気がさらに急加速した頃には3年前のモードに戻っていたのだから、不思議なものだ。

封印解除を告げる映像を経て、花道にはコンセプトアルバム『THE OTHER ONE』のテーマである“10のパラレルワールド”から導かれた10人の使徒が姿を現す。ゆっくりと行進する使徒が目指す先には、巨大な玉座が登場し、『THE OTHER ONE』の冒頭を飾るエピカルな新曲「METAL KINGDOM」からライブはスタート。玉座と反対側のステージでは神バンドがヘヴィなサウンドを轟音で鳴らし、玉座側からはSU-METAL(Vocal, Dance)が、神バンド側からはMOAMETAL(Scream, Dance)がゆっくりと歩みを進める。そして、花道中央の円形ステージで2人が交わると、曲のクライマックスにあわせてステージが上昇し、2人は手にした槍を掲げる。その姿はまるでBABYMETALのライブ再始動を高らかに宣言するようでもあった。


Photo by Taku Fujii



続く「Divine Attack - 神撃 -」では、その攻撃的なサウンド、曲調と相まって、フロアの盛り上がりが急加速。円形ステージ上では“アベンジャーズ”を加えた3人で一糸乱れぬパフォーマンスが展開され、SU-METALは伸びやかな歌声を響かせていく。一方、客席に目を向けると早くもサークルモッシュが発生しており、改めて新たな“日常”がここから始まったのだと実感させられた。




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