KANDYTOWNが語る3rd ALBUMと終演

“KANDYTOWN LIFE”の軌跡

ー「Curtain Call」はどのように出来上がった楽曲なのでしょうか。『LAST ALBUM』がリリースされるという告知と同時に「Curtain Call」が発表されました。楽曲を聴いて、「今後、KANDYTOWNはどうなっちゃうんだろう?」と思ったファンも多いのではと思います。

Ryohu ビートは先にできていて、しばらく誰も触っていなかったんです。「誰かが書くんだろうな」って思っているような感じでしたね。で、「俺が書かないと始まらねえ」と思って。コンセプトというか、あの曲の上で書きたいことは決まっていたので、それを誰にも何も伝えずに書き始めたんです。それから、KEIJUとIOの2人が感じたことを続けてもらう、っていう。

IO そもそも、この曲に対して「こういうことをしよう」っていう話し合いみたいなものはなかったんです。アルバム制作期間の最後の方にできた曲だったし、“みんなで制作を進めていく流れのなかで見えた、アルバムの中の一つの目的地”、みたいな曲ですかね。

KEIJU 僕は、 Ryohuくんが最初に書いていたものを送ってもらって、それを聴いたらRyohuくんが言いたいことも分かったし、それがテーマなんだな、と感じたんです。音源をもらってから30分くらいで、最初のイントロと自分のヴァースの8小節くらいまで出来て。その後、すぐにRyohuくんに「こんな感じでどうすか?」って聞いたら「いいね」と。それで書き進めていきました。だから、感覚的にも、「早く書けたな」って。



ーそれぞれのリアルな思い出がフラッシュバックするようなリリックですよね。固有名詞も多いですし、「この名前は誰のことを指しているのか?」と想像を膨らませながら聴いてしまいました。

IO そうしたリリックは、自然と出てきたって感じですかね。自分たちが見てきた最初の景色を思い出すようなリリックで、KANDYTOWNの一番初めの部分から遡って書いていきました。KEIJU も言ったとおり、Ryohuのヴァースが出来た時から閃いて。曲のフックに関しては、結構KEIJUがまとめてくれて。みんなで「ああでもないこうでもない」って言い合いながら進めていきました。

ーもうひとつ、確実に活動の終焉を感じさせる楽曲が、アルバムの最後に収録されている「Endroll」という曲だと思います。Neetzさんのビートで、ラップで参加しているのはIOさん、Ryohuさん、 MASATOさん、DONY JOINTさん、そして、BSCさんら。このメンバーは、KANDYTOWNの母体であり、YUSHIさんが率いたグループでもあるBankrollの面々でもあります。こうした点からも、強烈なメッセージ性を感じたのですが、『LAST ALBUM』 の最後をこうして飾った理由を教えてもらえますか?

Neetz 最初にIOくんからコンセプトをもらったんです。「Bankrollで最後の曲を作ろう。そして、アルバムのエンドロールになるような曲で」と。それから着想を得て、制作が進んでいきました。

IO KANDYTOWNの始まりは、まさにBankrollだと思っているので、終わらせるのもBankroll(のメンバー)で、と決めていました。そのアイデアをNeetzに伝えつつ相談したら、すぐにNeetzからビートが返ってきたんです。

MASATO 「エンドロール」というコンセプトなので、アルバムのジャケット写真のイメージにもちょっと近いのかもしれないです。昔から今に至る、その感じみたいな部分をリリックに落とし込むようにしました。「結局、やっぱり変わってない」ということを意識して書いていったんです。

DONY JOINT 俺も、「エンドロール」って言われてビートを渡されて、そのビートの雰囲気と、大体のコンセプトは伝わってきたんです。さっきの話じゃないけど、ちょっとノスタルジックな思いがあったり、最初にYUSHIがいて、KANDYTOWNとしてみんなでやってきて、ここで締める最後の「エンドロール」。そのヴァイブスのまんまですね。その気持ちをそのまま乗っける、と。

BSC さっきも触れましたけど、僕は個人的に「Blue Verse」の時に“寂しいよ”的なリリックを書いていたので、「Endroll」の時は、気持ちは割と振り切れていた状態で。「ちゃんと終わらせて、これからちゃんと進んでいこう」という気持ちでリリックを書き進めていきました。「それでも俺たちは変わらないぜ、どんな時でも」って。終わりだからどうこう……ではなく、いつも通りやって、IOの言葉じゃないけど「ちゃんと終わらせようぜ」という想いですよね。



ー2016年にアルバム『KANDYTOWN』でメジャーデビューを飾ったわけですが、以来、一貫してブレないKANDYTOWNらしさがあると思います。クールでブレないのが皆さんの魅力だと思いますが、逆に、成長したな、変わったなと思うことはありますか?

Ryohu 遅刻が減ったんじゃないですか?

IO いい車に乗るようになったと思います。なあ、Gottz。

Gottz はい(笑)。当時はめちゃくちゃバイトしてたんで。そう考えたら、生活は変わりましたね。

MUD 俺も昔は仕事もしてましたけど、今はしてないんで、やっぱりめっちゃ変わったっすね。

DONY JOINT 自分もそうですけど、みんな、大人になっていってるんだなって感じますよね。リリックにも深みが増しているし、言葉の遊び方も上手くなっている。新しいフロウができているとか、「こいつ、こういうビートでもカマせるんだ」とかそういうことの一つ一つに成長を感じます。その集大成みたいなものがアルバムにも反映されていると思います。

Ryohu それぞれ、ソロでの制作も経験してるわけですし、1st ALBUMの時と比べたら絶対にレコーディング慣れはしてますよね。それぞれの録音環境によって、機材も全部違うわけだし、前はみんな、Neetzのスタジオでしかレコーディングも経験したことがなかったわけで。

Neetz ラップが圧倒的に、確実にうまくなっていますよね。全員、声の出し方やビートに対してのアプローチも分かってきたんだなって。メロディの幅も、音楽の幅も広くなってきたんじゃないかと感じています。

ーこれまで印象的だった出来事はありますか? これ、と挙げるのも難しいかなと思うのですが。

Ryohu ちょうどさっき、裏で待っていた時に初めて地方にKANDYTOWNで呼ばれた時の話をしていたところだったんですよ。呼ばれた場所が長崎だったんですけど、ギャラが出ても、この10人以上の移動費とかを考えると赤字だったんですよね。それでも、初めてみんなで地方に行くって言うことで、自分たちでお金も出してライブをやったんです。それがすごく思い出に残っていて。まあ、それは僕がすごく酔っ払ってたよねって話から始まったんですけど(笑)。

BSC もともとKANDYTOWNは地元のラップやってる奴らが集まって活動していたわけなんですけど、最初、Holly Qがあんまり参加できてなかったんですよ。だから、彼がガッツリ参加できるようになったタイミングが印象的で。「これでやっと全員でガッツリできるぞ」と。「やっと来たか」ってめちゃくちゃうれしかったんですよね。

Holly Q 『ADVISORY』を出すちょっと前くらいのことですよね。それか、BSCくんのソロアルバム『Japino』あたりだったかな。俺も色々やりたいけど、なかなか参加できないって時もあったから。さっき話に出た最初の地方ライブは僕もいないですし、そんななかで、状況が落ち着いてみんなで活動できるようになったのはうれしかったですし、今もそれで楽しいって気持ちが強いです。

Minnesotah 確かに、みんなそれぞれのキャラやKANDYTOWNとしてまとまった瞬間――それが具体的にいつなのかは分からないですけど――それは記憶に残っていますね。


Photo by cherry chill will.

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