Awich、日本のヒップホップ史に残したマイルストーン 渡辺志保が考察

女性たちの連帯感、沖縄の熱いプライド

ライブ本編は、大きく分けて3つのセクションで構成された。臨戦体制であることを明言するかのように「Guerrilla」を披露した後、最初のパートは、MFSやNENE、LANA、MaRI、そしてCyber Ruiといった女性ラッパーたちが中心にフィーチャーされたステージに。ゆりやんレトリィバァも登場してさらに沸いた「Bad Bitch 美学 Remix」は、やはり圧巻の盛り上がり。「すべてのbad bitchに捧げます。男とか女とか関係ねえからな!」とAwichがシャウトし、MVの衣装を彷彿とさせるワードローブを身に纏った色とりどりの彼女たちは、まさに闘うことを恐れぬ愛の戦士といったところ。この日、会場に駆けつけることが叶わなかったAIはビデオメッセージで参加。「Bad Bith 美学 Remix」の途中、AwichらがAIにエールを送りながら会場を盛り上げていた様子も、女性たちの連帯感を示しているようで心地のいい雰囲気を感じた。





途中、Awichがステージ上を去り、代わりにオーディエンスを盛り上げたのはDJ U-LEE。スキルフルなスクラッチを交え、Awichも所属するクルー、YENTOWNのメガMIXを披露。kZm「DOSHABURI feat. JUMADIBA」やMONYPETZJNKMN「UP IN SMOKE」、DJ TATSUKI「TOKYO KIDS feat. IO & MonyHorse」といったバンガーを次々と繋ぎ合わせていく。同時に、スクリーンにはバックダンサーたちの名前が映し出され、ダンサーたちのソロ・タイムで観客を魅了した。

続く2つ目のセクション、アリーナの会場には再び沖縄の風が吹く。「琉球愛歌 Remix」とともにスタートし、RITTO、唾奇、OZworld、CHICO CARLITO、そしてSugLawd Familiarの面々が集合。沖縄が経験してきた痛みや歴史、そこに伝わる愛情や人々の暮らし、伝承。”沖縄とヒップホップ”を体感的に繋ぎ合わせ、Awichならではの感動的な瞬間が続く。RITTOとは敬礼とハグを交わし、RITTOも客席に向けて「愛してるよー!」と呼応する。この日初めてフルメンバーで披露することとなった「RASEN in OKINAWA」では、唾奇からマイクを繋いだOZworldが自分のヴァースの冒頭をアカペラでキック。沖縄民謡からの引用となるリリックをステージ上の全員が歌い、沖縄の熱いプライドが、さらにアリーナを包み込んだ。注目の若手MCで構成されるSugLawd Familiarの「LONGINESS REMIX」ではオーディエンスも大合唱し、この夜の大団円的な見せ場でもあった。


Photo by Uran


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その後、GADOROとの「Burn Down」、STUTSとBIMが参加した「Twinkle Stars」と続き、「たくさんの人と一体感を感じられる世界にしたいなと思って作った曲。不安があることを認めれば、前に進める」と切り出して「かくれんぼ」へ。会場もひとしきりエモーショナルな雰囲気に包まれ、再度Awichがステージから去ると、新たにBGMが流れ始める。そこに登場したのは、なんとスパコールの衣装に身を包んだゆりやんレトリィバァ。この衣装、見覚えがあると思ったら、AwichとKEIJUがYouTube上の人気企画「THE FIRST TAKE」にて「Remember」を歌った動画を、ゆりやんがパロディ風に撮影した動画(ややこしい!)と同じもの!?さらにはパロディ動画でKEIJU役を演じたナダルも登場し、二人で見事「Remember」を歌いあげた。コメディアンならではの身体を張ったパフォーマンスに、爆笑を交えてさらに盛り上がる客席。そしてすぐに、AwichとKEIJUによるガチな「Remember」が披露される。Awichをアリーナまで導いてきた人気曲の一つ。フックに合わせてジャンプするオーディエンスをさらに煽りながら、いよいよ最後のセクションへと進んでいく。








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