デュア・リパが語る、来るべきニューアルバムの内容、「知識」と「ヴィジョン」の重要性

デュア・リパ(Photo by MICHAEL BAILEY-GATES)

激動の数年間を経て、大きな野心を抱えたグローバル・ポップスターは今、プライベートと創作活動の両面で自由を謳歌している。新たな局面の幕開けを目前に控え、彼女は夢と不安、そして自分が本当に表現したいことについて語った。

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「私は今、人生という渦の中に文字通り身を投じようとしているの」

そう話すデュア・リパの念頭にあるのは、自身のサターンリターン(出生図上の土星がホロスコープを一周し、元の位置に戻るタイミングのこと。人生において大きな転機を迎える時期とされる)だ。占星術をこよなく愛する28歳の彼女は、まさに今人生の転機を迎えようとしているが、リパはずっと前からその到来を予見していた。多くの人は30歳という節目に、人生の軌道を大きく変える出来事をいくつも経験するが、キャリアを刷新する新章の幕開けを目前に控えた彼女は今、その興奮の真っ只中にいる。

「両足から水の中に引き摺り込まれるような感じ」。北ロンドン特有の砕けた口調で、彼女はそのカオスについて説明しようとする。「28歳ってもっとキュートだと思ってた」

我々は今、大勢の人で賑わうベニスビーチのAbbot Kinney Boulevardにある人気レストラン、Gjelinaの貸切状態のパティオにいる(TVシリーズ『Californication』が大好きだという彼女は、初めてカリフォルニアを訪れた際にはロサンゼルス市内よりも先にここに向かったことを恥ずかしそうに明かしていた)。ツイードのコート、Tシャツ、ジーンズ、サングラスという服装で、そのランチの場にひとりでやってきた彼女は、普段は客に占拠されたテーブルの間を縫うようにして歩いてきた。濃いワイン色に染めたその髪が目を惹く。偶然にも彼女と同じアルバニア人の両親を持つその店のオーナーが無料でデザートを振る舞ったのは、その髪が印象的だったからかもしれない。「アルバニア人ってどこにでもいるの」。彼女は肩をすくめてそう話す。

数日前にロンドンから来た彼女は、まだ少し時差ぼけが残っているようだった。フライトの2日前、彼女はフロアを直撃するネオ・サイケデリックなニューシングル「Houdini」を発表した。翌朝には、映画『バービー』のサントラに提供した「Dance the Night」が、グラミーの最優秀楽曲賞を含む2部門にノミネートされたことを知った。「あの日に発表があることさえ忘れてたの!」と彼女は話す。友人がDJとして出演したパーティでノミネートを祝った彼女は、二日酔いのまま飛行機に乗ったことを認めていた。



一大イベントを数多く経験している間も、リパは自分自身と向き合い続けていた。2024年後半には、全世界待望の3rdアルバムのリリースが控えている。同作には恋人との別れやカジュアルな恋愛への関心など、人生における大きな変化を経験した時期が凝縮されている。また彼女は、10年間に及んだマネジメント会社との関係を解消し、楽曲の所有権を買い取ったほか、Service95ニュースレター、映画出演、プロダクション会社の設立など、将来のヴィジョンの実現に向けて着実に準備を進めてきた。

「今はタフになることについて学んでいるところ」と彼女は話す。「常に逞しくあろうとする必要はないっていうのも、実は大切なのかもしれない」。しばらくの間、彼女は言葉を探していた。「わからないけど……今は自分自身のことを深く知ろうとしているんだと思う」

Translated by Masaaki Yoshida

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