ブルース・ディッキンソンが語る「マンドレイク計画」の真実、アイアン・メイデン日本公演の展望

『The Mandrake Project』の制作背景

―アルバムの曲はハード&ヘヴィで、メイデンの「If Eternity Should Fail」の兄弟曲といえる「Eternity Has Failed」もありますが、快調なリズムのスパゲッティ・ウェスタン・メタル「Resurrection Man」やヘヴィであってもタイプの異なる「Mistress Of Mercy」なども収録されています。メイデンの音楽性から意識的に距離を置きましたか?

ブルース:まあ、ソロ・アルバムでバンドと同じことをやっても仕方ないだろ? レコード店に行けばメイデンのアルバムは普通に売っているわけだしさ。もちろん歌っているのが同じ人間だから、似たところもあるだろうけど、異なったスタイルでも歌っているし、いろんなリスナーに楽しんでもらえるよ。

―アイアン・メイデンと最も異なっているのはどんなあたりでしょうか?

ブルース:「Sonata (Immortal Beloved)」だろうね。まったく新しいアプローチではないけど、メイデンに入る前にやっていたサムソンの「Communion」(1981年)や「Walking Out On You」(1980年)でやっていたことに通じる部分がある。



―あなたのソロ・キャリアの相棒であるギタリストのロイ・Zと今回も共作していますが、2014年に『The Mandrake Project』プロジェクトが始まってからずっと共同作業をしてきたのですか?

ブルース:いや、そういう訳ではないよ。ロイも俺もいろいろ別のことをしているし、顔を会わすのは俺がロスアンゼルスにいるときぐらいだ。メールでは連絡を取り合っているし、アイディアを送り合ったりするけど、ずっと作業しているわけではない。だからこそ新鮮な関係を保てるんだ。

―アルバムと連動するコミックについて教えて下さい。アイアン・メイデンの歌詞はしばしば具体的なストーリーがありますが、『The Mandrake Project』の歌詞は物語に基づくものではなく、コミック化するのがより難しいのでは?

ブルース:アルバムの歌詞をそのままコミックにしようとはしていないよ。アルバムとコミックは、森の中でそれぞれ独立して生えている木のようなものだ。根っこの部分は同じだけど、異なったものなんだ。どちらか片方でも楽しめるし、両方だとさらに魅力を増す。スーパーヒーローは登場しないし、音楽とも直接は関係ない。少しばかり歌詞の断片を忍び込ませたりしているけどね。アラン・ムーアの『ウォッチメン』でジョン・レノンがカメオ出演するような感じかな。ただ、『The Mandrake Project』の世界観の方がダークだよ。


「権力、虐待、アイデンティティをめぐる闘争を描いたダークでアダルトな物語」である『The Mandrake Project』。ブルース・ディッキンソンによって創造されたコミックシリーズでは、Tony Leeが脚本、Staz Johnsonがイラストを担当し、12の四半期のエピソードが3つの年次グラフィックノベルにまとめられる(画像は公式サイトより)

―「Afterglow Of Ragnarok」のミュージック・ビデオは「The Mandrake Projectとは何だ……?」と終わりますが、続きはどうなるのでしょうか?

ブルース:まさにそれがコミックの第1回に繋がっていくんだよ。コミックは全12回、毎回34ページで、これから続刊していく。4回ズルをまとめた単行本も出す。3年がかりのプロジェクトだ。俺が考えたラフなあらすじとキャラクター設定を元に、シナリオはトニー・リー、作画はスタズ・ジョンソンが手がけている。さまざまな謎がどのように解き明かされていくか、楽しみにして欲しい。


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