詐欺広告問題で批判殺到のMeta、セックスワーカーのアカウント停止をめぐる謎 米

ラナさんから話を聞いても驚かなかった。筆者も似たような状況を経験したことがある。だがアダルト業界の中でも、トランスジェンダーはとくにアカウント閉鎖や詐欺に遭遇しているようだ。詳しいデータはないものの、聞き伝えではトランスジェンダーの女性はシスジェンダーのパフォーマーよりもはるかにずっとソーシャルメディアで差別に遭っている。ソーシャルメディア各社からはアカウントを削除されるし、ネット荒らしからは毎日のように狙われ、嫌がらせを受けたり、家族の身元をバラされたりする。デジタル界でのトラブルを上げればキリがない。どういうわけか――おそらく通報回数が多いせいだろうが――ソーシャルメディア各社はシスジェンダーよりもトランスジェンダーのパフォーマーのアカウントを閉鎖することが多いように思われる。トランスの女性たちと仕事をした経験上からも、彼女たちはストーカーや嫌がらせやネット荒らしの被害に遭う回数がはるかに多い。彼女はトランスであるがゆえにインターネット上で罰せられているのだ。アカウント閉鎖が増えれば詐欺師からのメッセージも増える、という最悪のパターンが見えてくる。しかもAIの出現で詐欺件数はますます増えている。風俗および大手プラットフォームの状況について、重要な疑問がいくつか湧いてくる。

そうした疑問を理解する前に、まずは詐欺の流れを知っておく必要がある。よくある流れとしては、まずソーシャルメディアのアカウントの1つが閉鎖される。アカウントが閉鎖されたことをどうやって知ったのか、詳しいところは分からないが、偶然とは思えないほど間髪置かずに、いきなり赤の他人からX(Twitter)のDMやメールでメッセージが届く。送り主は、金を払えばアカウントを戻してやると約束する。Metaの関係者を名乗ってくる場合もある。

パフォーマーのアビゲイル・マックさんも、アカウントを閉鎖された直後にこうしたメッセージを受信した。「Instagramの社員の仕業だ」というのがマックさんの考えだ。「(奴らは)脅迫して金を巻き上げているのよ」

マックさんによると、ごく最近もMetaからアカウントを閉鎖され、1万5000ドルと引き換えにアカウントを再開すると持ち掛けるメッセージを受け取った。24時間以内に支払わないとアカウントを永久に削除する、とも書かれていた。マックさんは自分でなんとかしますと返答した。

「そしたら、いくらなら出せるかと訊かれた」とマックさん。「(奴らは)毎日そうやって金をせしめてるのよ。たいした詐欺だわ」。

もっと恐ろしいケースもある。「こんにちは、アカウントを閉鎖された時に備えて保存しておいて」というメッセージを受け取った後、ちちんぷいぷい、驚くことなかれ、アカウントが消えてしまうのだ。そして先のメッセージを受信し、愕然とする。

最悪なのは金を払った時だ。たいていはこれで上手く収まる。筆者もアカウントを取り戻せた。そのことには感謝しているが、ここで疑問が生じる。詐欺の具体的な手口は? セックスワーカーのInstagramのアカウントだけでなく、あらゆる人々のアカウントについてどこまで知っているのだろう? どうやってアカウント閉鎖を解除しているのだろう? セックスワーカーのアカウントを回収していない時は、どこで何をしているのか? 閉鎖を解除するにあたって、Metaとどんなやり取りをしているのか? 詐欺師にいったん金を払った後、何度もアカウント閉鎖に遭うのはなぜなのか?

「1度金を払うと、こいつはカモだと思われて繰り返してくる」とマックさんは言う。

最高2万ドル払ったのに、アカウントを再開できなかった子もいる。こうした詐欺師が女性にメッセージを送り、女性のアカウントを通報して、その後Twitterやメールなど別の手段で連絡しているのは大いに考えられることだ。10代の拒食症からスマホ依存症に至るまで、ソーシャルメディアの危険について様々な議論が行われているが、その割にはソーシャルワーカーが被っている被害についてはあまり世間に知られていない(大統領とファックしない限り、ポルノ女優がウォールストリートジャーナル紙の1面を飾ることはない)。詐欺の被害者が増える前に、Metaには是が非でも問題を調査し、原因を特定していただきたい。

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from Rolling Stone US

Akiko Kato

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