牧村憲一が語る、加藤和彦「次から次へと新しいことをやっていきたがった人だった」

音楽評論家・田家秀樹が毎月一つのテーマを設定し毎週放送してきた「J-POP LEGEND FORUM」が10年目を迎えた2023年4月、「J-POP LEGEND CAFE」として生まれ変わりリスタート。1カ月1特集という従来のスタイルに捕らわれず自由な特集形式で表舞台だけでなく舞台裏や市井の存在までさまざまな日本の音楽界の伝説的な存在に迫る。

2024年5月の特集は、「TM NETWORKと加藤和彦」。前半2週が今年デビュー40周年、5月15日に初めてのトリビュート・アルバム『TM NETWORK TRIBUTE ALBUM -40th CELEBRATION-』をリリースしたTM NETWORK。後半2週が5月31日からドキュメンタリー映画『トノバン 音楽家加藤和彦とその時代』が公開された加藤和彦を渡り掘り下げていく。

田家:こんばんは。FM COCOLO「J-POP LEGEND CAFE」マスター・田家秀樹です。今流れているのは「あの素晴しい愛をもう一度」。作詞が北山修さん、作曲が加藤和彦さん。歌も2人で歌って、1971年に大ヒットした曲の最新版ですね。オリジナル音源の加藤さんの歌に合わせて新たに加わっているのが、坂本美雨さん、石川紅奈さん、高野寛さんさん、高田漣さん、そして北山修さん、坂崎幸之助さん。5月22日に発売された『The Works Of TONOBAN ~加藤和彦作品集~』からお送りしております。先週と今週の前テーマはこの曲です。

あの素晴しい愛をもう一度~2024Ver. / Team Tonoban

今週のゲストは加藤さんと最も近いところで仕事をされていた音楽プロデューサー、コーディネーター、レーベル主催者。加藤さんのマネジメント事務所アワーハウスの社長さん、そしてこの番組には何度もご登場願っております。牧村憲一さん。映画にも、もちろん登場されています。監修者というふうに言っていいかもしれませんね。こんばんは。

牧村:こんばんは。よろしくお願いします。

田家:牧村さんのお名前は映画と別に最近あちこちで目にしておりまして、牧村さん監修の本が2冊出てまして。1冊が平野悠さん、ロフトのオーナー。『1976年の新宿ロフト』。これは星海社というところから出て、もう1冊が百年舎。ここから前田祥丈さんと加藤さんの共著というふうになっておりますが、『あの素晴しい日々』。両方とも監修で。

牧村:はい。70年代を体験している人たちが少なくなってしまって。

田家:もう1冊の百年舎から出ている『あの素晴しい日々』。これも監修ですよね。

牧村:はい。そもそも最初に出版されたときに仕掛け人みたいな仕事をしたんです。トノバンがあまりみなさんによく思われていない時期があったんです。それは主に安井さんとの問題も絡んで、それは誤解で事実は違うんだということで本を企画したんですけど、引き受け先がなかったんです。

田家:『エゴ』というタイトルで出ていた本がありましたよね。

牧村:それが95%くらい中身は同じという本です。

田家:あれも手に入らなくなっているんだ。

牧村:そうなんです。初回だけ刷って、結構刷ったんですけどもそのうち人気が出てきて、手に入らない頃になって加藤和彦の評価がグッと上がってきたという。

田家:幻の本ですね。

牧村:そうなんです。それで今回映画をやるにあたって監督がぜひ本も出してくれと。

田家:映画の相原監督が。

牧村:はい。映画は様々な資料を基に作り上げたけど、この本からの影響もものすごく大きい、言わば屋台骨になっている本なので、ぜひ!というので、長い付き合いの杉岡さんという編集をする方に相談をしたら、やりましょうとなりまして。

田家:今日はこの本の話も織り交ぜながらいろいろ伺っていこうと思うのですが、あらためて牧村さんに曲を選んでいただいておりまして、1曲目がこの曲です。「サイクリング・ブギ」。でもちょっと違う始まり方をしているので、その話は後ほど伺おうと思います。

Rolling Stone Japan 編集部

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