ロー・パワー・ レガシーエディション

共同プロデューサー、デヴィッド・ボウイがミックスを手掛けた1973年の『ロウ・パワー』は、まさに脳天を突き抜けるくらいの衝撃だった。ジェームス・ウィリアムソンの破壊的なギターはボリュームを下げなければいけないほどだ。しかし、それこそがこの曲の美しいところである。97年にも再発された本作だが、今回はオリジナルのアナログ盤に欠けていた透明度と重厚感が加わり、見事にパワー・アップを遂げた。ヒリヒリするようなエネルギーを手に入れたのだ。デトロイト発の伝説のグループによる3枚目のアルバムにして、最も荒々しいアルバム。  イギー・ポップは、まるで歌詞の世界そのものを生きてきたかのような説得力でもって、破滅の讃歌を歌い上げる。「サーチ・アンド・デストロイ」ではグラム・ロッカーの気取ったポーズを捨てる一方で、大いに芝居がかったヴォーカルで挑発する。当時、バンドに加入したばかりだったウィリアムソンは、べースのロン・アシュトン、ロンの兄弟であるスコット・アシュトンたちとともに、ほとんど独力でパンクを作り上げた。今回のデラックス・エディションでは、73年に行われたアトランタでのパフォーマンスを対照的な気さくな会話とともに収録。そして、これまでリリースされたことのない未発表曲「Cock in My Pocket」 が収録されている。さらにアウトテイクやドキュメンタリーDVD『メイキング・オブ・ロウ・パワー』(ルー・リード、ジョーン・ジェット、トム・モレロ、ヘンリー・ロリンズ、クリッシー・ハインドなどがコメントを寄せている)も付いた豪華な内容だ。

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