『ブラジルの余韻(ベイジョ)』は、大ヒットシングル2曲を含むアルバムの中盤に収録されている、ほんの80秒ほどのグルーヴだ。しかし、そのファルセット・ディスコ調の歌声「ベイジョ!ベイジョ!バ・ダ・バ・バ・バ!」は、ヒップホップにも大きな影響を与えた。ヒップホップ初期のニューヨークのDJたちは、MCがラップするのにこの曲を合わせた。サザン・ヒップホップの先駆者MCシャイDは、1987年のハードロック調シングル『I’ve Gotta Be Tough』でこの曲を引用した。また、ア・トライブ・コールド・クエストは画期的デビューアルバム『People’s Instinctive Travels and the Paths of Rhythm』に、ビッグ・パンはチャート40位に入った1998年のヒット曲『Still Not a Player』に引用した。ブラック・アイド・ピーズからエムエフ・ドゥームまで、誰もが嬉々として恍惚としたこのサビ部分を借用するのである。ちなみに、「ベイジョ」とはポルトガルで「キス」の意味だ。