心拍数と歩数で突き止める真犯人、ウェアラブル技術が名探偵に早変わり

ウェアラブル技術が心拍数と所在地を追跡し、これが警官の犯罪解決を助けている。(Photo by Shutterstock)

Fitbitのデータが、継娘を殺害したカリフォルニア在住の90歳の男の逮捕につながった。

容疑者のアンソニー・アイエロは、被害者のカレン・ナバラと最後に会ったのが9月8日だと警察に説明していた(遺体はその日から5日後に発見された)。しかし、アイエロが知らなかったことがある。ナバラのFitbitに、8日の午後3時20分頃に彼女の心拍数が急激に上下した記録が残っていたことだ。これはアイエロがナバラの自宅にいた時刻で、彼女の心臓はその直後に止まった。
   
継父のアイエロが偶然ナバラの自宅にいた時間が、彼女が身につけていたウェラブル技術が記録していた正確な彼女の死亡時間と重なったことを受けて、当局はアイエロをナバラ殺害で起訴した。

FitbitやApple Watchなどのデバイスや、iPhoneに自動的にインストールされる健康アプリなど、ユーザーの健康状態を記録するウェアラブル技術は、もともとユーザーが健康維持や健康管理に役立てる情報として、1日の歩数や心拍数を記録するためにデザインされたものであるが、最近はこの技術が犯罪解決に役立つツールということが実証されている。殺人事件の解決にウェアラブル技術が役立った事件をいくつか紹介しよう。

・ケース1

5月、ウィスコンシン州で、2016年に起きたニコール・ヴァンダーヘイデン殺害の容疑者ジョージ・バーチに裁判員が有罪判決を下した。当初ヴァンダーヘイデンの恋人だったダグラス・デトリーが容疑者として拘束されたが、デトリーを犯人とする証拠が不足している状況にもかかわらず、デトリーを真犯人に仕立て上げようとするバーチの証言によって、裁判中に合理的な疑いが生じた。

しかし、デトリーのFitbitデータは殺人が起きた時刻にデトリーが就寝中だったことを示し、恋人を殺害していないことが証明されたのである。さらにこの事件では、ウェラブル技術があらぬ疑いをかけられた恋人の容疑を晴らしただけでなく、バーチを有罪に持ち込む証拠まで記録していた。ヴァンダーヘイデンが殺害された時刻にバーチが殺害現場にいたことを、彼の携帯電話は記録していたのである。

・ケース2

4月、2016年にオーストラリアで殺害されたマーナ・ニルソンのApple Watchの心拍数の記録から、事件が起きた時間帯が突き止められた。死亡時に一緒にいた義理の娘キャロライン・ニルソンは、運転中のマーナがカッとなり数人の男性と20分ほど口論となって殺されたと証言。

ただこの証言は、襲われている最中にマーナの心拍数が上がり、意識を失うにつれて心拍数がゆっくり落ちてゆき、死亡時に止まった記録とは矛盾している。このため、キャロラインは義理の母親の殺害犯として起訴され、2019年に裁判を受ける予定になっている。

・ケース3

2015年に妻のコニーが殺害されたとき、夫のリチャード・ダバテは自宅にいた。そして、覆面をした侵入者が押し入り、自分を椅子にくくりつけ、車庫から部屋に入ってきたジム帰りのコニーを銃で殺したとリチャードは警察に説明した(この日、ジムに行った彼女はFitbitを装着していた)。

捜査官たちは自宅のアラームシステム、夫婦の携帯電話、コニーのFitbitのデータを検証して、リチャードの説明が嘘だと見抜いたのである。悪事を証明したデータは、殺される直前までコニーの携帯電話が自宅のWi-Fiに接続してFacebookに写真をアップロードしていたことだった(リチャードの説明通りなら、この時刻にコニーは覆面をした侵入者に襲われていることになる)。

さらに、コニーのFitbitは、彼女の身体の動きが止まる直前まで最長40分間に渡って370メートル歩いていることを示した。彼女が車庫から殺害された地下室までしか歩いていないのであれば、Fitbitが示す距離は38メートル程度になるはずだ。リチャードは妻殺害で現在裁判中だ。

Translated by Miki Nakayama

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