ホラーの巨匠、ジョン・カーペンター監督が親子三世代で熱中していること

映画『Halloween(原題)』のセット内に立つジョン・カーペンター。(Photo by Jamie Lee Curtis)



『ハロウィン』のメインテーマはマイク・オールドフィールドが作った『エクソシスト』の「チューブラー・ベルズ」と比べても遜色ないものだが、カーペンター自身はバーナード・ハーマンが作ったアルフレッド・ヒッチコック作品の映画音楽、特に『サイコ』『めまい』『北北西に進路を取れ』からインスピレーションを得たという。「彼の作品は天才的だ」とカーペンター。「音楽がサスペンスを構築して行くんだ。自分にあんなに素晴らしい音楽センスがあるとは思えないよ。尻込み気質だからね、私は。だから、とにかく自分にできるものを作っただけ。本当にシンプルでベーシックなものだったよ」



それ以外に彼が褒めるのが、『サスペリア』のサウンドトラックを作ったゴブリン、ハンス・ジマー、ディミトリ・ティオムキン(ハリウッド映画音楽を作ったロシア人作曲家)、ドイツのエレクトロニック・グループのタンジェリン・ドリーム(『恐怖の報酬』『卒業白書』)で、長年にわたりインスピレーションの素となっているらしい。しかし、彼が進むべき道を決定するきっかけとなったのは、1956年のSF映画『禁断の惑星』のアンビエントで音を振動させた電子音楽を作ったビーブとルイスのバロン夫妻だった。「あれは、大きくて、途方もない影響力を持っていた、うん、本当にそうだった」とカーペンター。「電子音楽を使った初めての映画音楽だった。驚いたのなんのって。今でも最高の作品だよ」

オリジナル『ハロウィン』に音楽を付け加えて、ボウリング・グリーン・フィルハーモニック・オーケストラというクレジットにした途端、観客が望み通りの反応をするようになった。そう、恐怖だ。それ以来、ピアノの鍵盤を叩きつけるテーマ曲がホラー映画のクラシック曲となった。その後のシリーズ作品とは距離を置いてきたとはいえ、1981年の『ブギーマン』(この脚本をオリジナル『ハロウィン』の脚本家デブラ・ヒルと共作している)と、1982年の『ハロウィンIII』のために新曲を作っている。ちなみにマイケル・マイヤーズのフランチャイズが始まったのがこの『ハロウィンIII』からで、その後のシリーズ作品ではカーペンターが作ったオリジナルのメインテーマに様々なバリエーションを付けて使い続けてきた。

グリーン監督の最新作で、カーペンターは新たなアレンジを想起した。オリジナルに比べてヘヴィなビートを施し(「あれはディスコだよ、また流行らせようぜ!」とカーペンターが冗談を飛ばす)、品の良い雰囲気のあるアレンジに仕上がっている。2014年以来、彼と彼の息子と孫の3人でオリジナル・アルバムを2枚制作し(『Lost Theme(原題)』と『Lost Theme II(原題)』)、ワールド・ツアーも行った。今回のサウンドトラックはこの2枚のアルバムの続編のようにも聴こえ、不機嫌かつ淡々としたリズムで、随所であっと驚かせる音楽に仕上がっている。一部公開されている「Michael Kills Again(原題)」は非常に静かに始まって突然ヘヴィメタル風の爆音でこちらの度肝を抜くし、「Ray’s Goodbye(原題)」では殺人鬼が墓地の入り口からこちらに静かに近づいてくる雰囲気がよく出ている。



しかし、カーペンターはこの音楽をサウンドトラックという名称では考えていないと言う。「どの曲を言っているのかわからない」とイライラした口調で言って「私は……」と口ごもる。そこで自分でタイトルを付けたかカーペンターに聞いてみる。彼は「いや、断じて私じゃない」と答える。しかし、「The Shape Hunts Allyson(原題)」はわかると言う。この曲は活発で幽霊を思わせる気味の悪いシンセ・サウンドと、霞のかかったような雰囲気がミックスされている。「あの曲が大好きだ。お気に入りだよ」と。

Translated by Miki Nakayama

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