トランプ大統領「選挙は終わった。みんなで愛し合おうではないか」

米ホワイトハウスのイーストルームで開催された記者会見にて、ドナルド・J・トランプ大統領がCNNのジム・アコスタ記者の質問に応じた。(Photo by Mark Wilson/Getty Images)

CNNを非難したり、アフリカ系アメリカ人記者の質問を人種差別的と決めつけたり——記者会見を通じてトランプ大統領の狭量さと悪質さが露見した。

アメリカ現地時間7日(水曜日)の夜、中間選挙の結果を受けてトランプ大統領が記者会見を開いた。民主党が下院の過半数を獲得したにも関わらず、大統領は即座に勝利を宣言した。「すばらしい勝利だ! みんな、ありがとう!」。6日(火曜日)の夜遅く、Twitterにこのように投稿した大統領は、翌水曜日の朝にも自画自賛と民主党——トランプ氏が大統領に就任して以来、初めて彼の力量を試すための過半数を獲得した——に対するギャングまがいの脅しが入り混じったコメントを付け加えた。

記者たちの前で自身の政党である共和党の今回の選挙における功績をかばう必要性も感じたのか、大統領は張り切っているように見えた一方、前夜の選挙結果について語った大統領は眠たそうで、どことなく無関心の様子だった。

質疑応答の時間になると、大統領は守りの態勢に入った。とりわけ、CNNのジム・アコスタ記者が米国を目指す中米移民のキャラバンを大統領が侵略と表現したことに対して意見を求めると、緊迫したやりとりが繰り広げられた。「この国の指揮は私に任せなさい」と最終的に大統領は述べた。「あなたはCNNを指揮していればいい」。アコスタ記者がさらに質問すると、記者会見は修羅場と化した。

「あなたを雇っているCNNは恥知らずだ」。アコスタ記者がようやく着席するとトランプ大統領は言った。「あなたは無礼で最悪の人だ。あなたみたいな人がCNNにいてはいけない。あなたは本当に無礼だ。ホワイトハウス報道官サラ・ハッカビー・サンダースに対するあなたの態度は最低だ。人の扱い方がまったくなっていない」

大統領の攻撃はNBCのピーター・アレクサンダー記者にも向けられた。アレクサンダー記者がアコスタ記者を擁護したのに対して大統領は不満そうに言った。「まあ、正直な話、私はNBCのファンではないので」。この言葉によってアコスタ記者が再び立ち上がり、大統領への尋問を続けた。「あんたのニュースは偽物だ。フェイクニュースはCNNの常套手段だからな」と大統領はアコスタ記者に言った。「あんたは国民の敵だ」。

記者たちとの攻撃的なやりとりは記者会見中ずっと続いた。PBSのヤミッシュ・アルシンドア記者が共和党における白人ナショナリズムについて質問すると、大統領はアルシンドア記者の質問が人種差別的であると激しく非難した。

「私は一人の善良な人間としてここにいるのに、全員が飛び跳ねながら私に大声で質問してくる」。記者会見後に大統領は語った。

「敵意に満ちた」メディアへの攻撃以外にも、大統領はお決まりの嘘を並べ立て、話をはぐらかしながらも、下院において過半数を獲得したことで大統領を調査する権限を得た民主党に脅し文句を浴びせ続けた。「仮に民主党が私を調査するなら、私たちだって同じことをする。民主党のせいで政府の活動は中断してしまう」と言いながら、「情報漏洩」をはじめとする数々の違反に対して上院を挙げて民主党を調査することもほのめかした。

民主党が大統領に対して召喚状的な権力を行使できる手段のひとつには、大統領に所得税の納税申告書の公表を強制することだ。これに対してトランプ大統領は否定的だ。「何度も言うように、私の申告書は会計検査中だ。複雑だからこそ、これほどの時間がかかっている。国民には理解できないだろう。納税申告書の内容が理解できるわけがない」大統領は言った。

トランプ大統領によって自身、あるいは共和党が政府にもたらした損害の責任を何が何でも今後下院を支配する民主党に負わせる心算があることが水曜日に明らかになった。「過半数である民主党に責任を負わせる」と話した。「民主党が過半数なのだから、彼らを非難すればいいだけのことだ」

しかし、今のところはすべての人々に敵対感情を忘れて中間選挙の結果を享受してほしいと大統領は望んでいる。「選挙は終わった。みんなで愛し合おうではないか」。トランプ大統領は言った。

Translated by Shoko Natori

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