クレイグ・デイヴィッド、8年ぶりとなった来日公演のレポが到着

8年ぶりの来日公演にして、日本初お披露目となった「TS5」のステージに立ったクレイグ・デイヴィッド(Photo by Kayoko Yamamoto)

全世界トータル・セールス1500万枚以上、英国を代表するR&B/ソウル・シンガーのクレイグ・デイヴィッドが、2月18日に渋谷TSUTAYA O-EASTにて8年ぶりの来日公演を開催。「イビザの歴史上もっとも成功したプール・パーティー」と称される「TS5」の日本初お披露目となったこの貴重なライブはソールドアウトとなり、1300人のオーディエンスを最後まで沸かせた。

直近2作のオリジナル・アルバムで全英1位・2位を獲得し、大復活を果たしたクレイグ・デイヴィッドが8年ぶりに来日。その劇的なカムバックのきっかけとなった「TS5」と呼ばれるDJスタイルのパフォーマスを披露した。クレイグといえば、とびきり甘い歌声のR&B/ソウル・シンガーとして知られるが、この「TS5」のライブでは歌のみならずDJ も兼任。バンドは率いず、完全なるひとり舞台で進行する。

往年の大ヒット曲「リワインド」を歌いながらステージ袖からクレイグが登場すると、久々の再会に会場のファンは大熱狂。そこにデビュー曲「フィル・ミー・イン」が続けられると、早くも興奮の坩堝と化していた。黒いトレーナーの上下にGジャンというスポーティな装いのクレイグは、ステージ中央のDJブースと観客の間を常に行き来しながら、歌って、踊って、オーディエンスを煽ってと大忙し。ほとんどノンストップで繋がれるトラックをバックに、もちろん歌は生歌だ。そのトラックも、いわゆるカラオケ的なものではなく、他の楽曲とのマッシュアップだったり、異なる曲のビートの引用だったり、即興的にアカペラに切り替えるなど、ライブ感や臨場感に溢れている。

自身の曲のみならず、TLCやEVE、ホイットニー・ヒューストンなどによる90年代〜00年代の懐かしいヒット曲も多数プレイされたり、最近の曲ではジャスティン・ビーバーの「ラヴ・ユアセルフ」のカヴァーや、リアーナが歌ったDJキャレドの「ワイルド・ソーツ」をスターダストの「ミュージック・サウンズ・ベター」に乗せて歌うといった技アリな展開も飛び出した。さらに、そこから上手く、自身の「ホウェン・ザ・ベースライン・ドロップス」や「マジック」といった最新ヒットへと見事に繋げていくのだから恐れ入る。

中でも最大のハイライトは「ハートライン」と「エイント・ギヴィング・アップ」の2曲だろうか。開放感溢れるトロピカルなサウンドを前に、オーディエンスは両手を掲げて大喜び。どちらも復活後の近2作からのヒット曲だが、ファンもクレイグの進化をしっかり受け留め、歓迎している様子が窺えた。

実はシンガーとしてデビューするよりも先に、DJとしてキャリアをスタートしていたクレイグ。今回のツアーではDJ としてのスキルもたっぷり披露された上、グライムMCとしての弾丸早口ラップもふんだんに投下され、オーディエンスを唸らせ大喝采を浴びていた。もちろん、スウィートでハンサムな歌声もますます磨きがかかっていたし、エンターテイナーとしての資質や魅力も光っていた。オーディエンスのひとりひとりと常にアイコンタクトを取りながら、ステージ前方のファンとはひっきりなしに握手を交わし、触れ合いを大切にする。バスティルとのコラボ曲「アイ・ノウ・ユー」を歌った際には、「ここにいるひとりひとりについて知ってるわけじゃないけれど、でもみんなと分かり合えてる気がするんだ。そんな気持ちを歌っている」とMC。

ラスト・ナンバーとなった「シックスティーン」まで、「東京」という言葉を幾度となく歌詞に入れて歌ってくれたクレイグ。音楽を介して繋がり、対話をしているかのようなインタラクティヴな80分間。最高にフィールグッドなショウだった。

(文:村上ひさし)



クレイグ・デイヴィッド プレゼンツ TS5
東京公演セットリストを再現したプレイリスト
https://lnk.to/TS5JPSETLIST

Rolling Stone Japan 編集部

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