Reiが語るストーンズの魅力「破天荒だけどリスナーに寄り添うことも忘れないエンターテインメント精神」

─Reiさんにとって、ストーンズってどんなバンドなんでしょう。

今風にいうと「chill」だなと思います(笑)。ひねくれているし、テキトーだし、「音楽なんだし、いい加減だろうがなんだろうが楽しければいいじゃん」っていう「ユルさ」を私は感じて。ソフィスティケイトされたロンドンの雰囲気とは逆を行っているのかなっていうイメージがありますね。

─ジャックダニエル片手にレコーディングしている写真なども残っていますしね(笑)。

そうですよね(笑)。例えば「Honky Tonk Women」のライブバージョンを例にとると、ミック・ジャガーの歌もリズム感が悪いのか(笑)、あえてハズした感じを狙っているのかは聴き方によりますけど、もはや音源を忠実に歌うなんてことは考えてないんじゃないかなって思います。一つの素材を使って、その時の自分たちのフィーリングを奏でている感じがしますね。それってすごく自由な考え方だし、堅苦しくなくていいなと思います。


(C) Helmut Newton

─ショウ・オカモトさんとのストーンズ対談(Mikikiに掲載)で、Reiさんが「彼らは経験値が高いからこそ、いくつものシャッフルのノリ方をやっている」と話していたのが印象的だったのですが、それもある意味、天然なんですかね?

うーん、天然の部分もあるかと思うんですけど、ある程度は計算してるんじゃないかと思いますね。彼らはブルーズのカバーをたくさん演奏しているし、「オリジナルのノリはこうだけど、俺たちがやるならこうだよね」みたいなやり取りはあるんじゃないかなと。ただ、ブルーズへの愛や思い入れが強いからか、すごく前のめりの、それこそ転がる石のようなシャッフルもあれば、割と重ためのシャッフルもあって。

─ストーンズは、ライブ音源もいろいろ聴いているんですね?

そうですね。ライブアルバムだと私は『Love You Live』が一番好きで、「Honky Tonk Women」もこのヴァージョンが好きです。チャーリー・ワッツのドラムって、ある意味リンゴ・スターのドラムと似ているところがあって。キース・リチャーズとミック・ジャガーが自分のグルーヴでかなり揺らいでいる中、「我関せず」とばかりスクエアに叩いているところとか(笑)。特にこのライブアルバムは、そういうバンド内のグルーヴのせめぎ合いを感じられるのでよく聴いています。

あと、キース・リチャーズはエレキギターのプレイももちろん魅力的なんですけど、実は彼が弾くアコギも好きで。「Angie」という、私の一番好きなストーンズの楽曲や、「Wild Horses」での彼のプレイを聴くと、この人はきっと女の子に優しいんだろうなって思うんですよね(笑)。タッチが繊細だし、撫でるようなストロークや、柔らかいアルペジオに、彼の人柄が表れている気がします。

─なるほど、プレイスタイルを見れば、その人の女性の扱いがバレてしまうんですね。

あははは。でも、ミュージシャンはそういうところ、結構見ていると思いますよ? 例えばセッションをしていて、普段は優しそうな人がちょっと強引で自己中なプレイだったりすると、逆に「そこがいいな」みたいな。たぶん、プレイヤーの方は「歌」じゃなくてもそのタッチやニュアンスから、人柄を感じることが出来ると思います。さっき話したチャーリーのドラミングもそうですよね。




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