スタンディングロック居留地で続く闘い ソーラーパワーに向けられる部族アクティビズム

非ネイティヴアメリカンのリーダーたちにとってスタンディングロックは、再生可能エネルギーを推進するきっかけとなった。ニューヨーク州選出の女性下院議員アレクサンドリア・オカシオ=コルテスはスタンディングロックを、下院議員選へ立候補する後押しをしてくれた「アクティビズムのるつぼ」と表現した。

ハワイ州の下院議員で2020年の大統領選への出馬を表明しているトゥルシ・ガバードは、現職下院議員として唯一2016年の抗議運動に参加した。1年後、彼女は「Off Fossil Fuels for a Better Future Act(より良い未来のための脱化石燃料法案)」を立案した。同法案はグリーン・ニューディールと同様の目的を持ち、多くの環境団体の支持を得ている。「スタンディングロックは、集団的意識におけるひとつの転換点だった」とサウスダコタ州選出の下院議員で、ラコタ族とナバホ族の血筋を引くレッド・ドーン・フォスターは2018年12月、ネイティヴニューズに語っている。「スタンディングロックは、人々の殻を打ち破った」とツー・ベアーズは言う。「自分たちのコミュニティにとって神聖なるものを守るため、世界中で人々が声を上げ始めた」

それでもネイティヴアメリカンのリーダーらは、他の有色人種のコミュニティと同様、自分たちのコミュニティが化石燃料業界の汚染被害をまともに受けてきたと主張する。化石燃料の抽出により土地は傷付き、汚染を撒き散らす発電所やダコタ・アクセスのような大規模パイプラインが彼らの住む土地や周辺に多く建設されている。さらにネイティヴアメリカンのコミュニティは、非ネイティヴアメリカンの住民よりもかなり高い燃料費を負担している場合が多い。例えばキャノンボールでは、電力1kWhあたり約14セント(約15円)なのに対し、北へ約1時間のビズマークでは約半額だ。

「スタンディングロックは人々の目を覚ました。しかし我々は昔から、入植者の持ち込んだ資本主義による企業モデルがこの世界を攻撃するのを見てきた」と、ソーラーベアーのブレイクは言う。2018年、彼の会社はレッドレイク郡の本庁舎にソーラーアレイを設置し、さらにコミュニティカレッジやサウスミネアポリスのハウジングプロジェクト、2つの部族カジノにもアレイの建設を計画している。

「私のコミュニティ内の不均衡には本当に悩まされた」とブレイクは言う。また「この国に展開するエネルギーシステムは、ネイティヴアメリカンの価値観とは一致しないと私は認識した。そうして私の導き出した結論は、ネイティヴアメリカンが自ら再生可能エネルギー源を利用するエネルギー企業を立ち上げねばならない、というものだ」という。さらに重要なステップとして、連邦政府レベルの部族公益事業委員会を創設し、ダコタ・アクセス・パイプラインのようなエネルギー施設プロジェクトに対するネイティヴアメリカンの声をもっと聞き入れる仕組みを作るべき、とブレイクは主張する。


キャノンボール(ノースダコタ州)でソーラーパネルの設置を支援するコルト・タイガー(Photo by James Kambeitz)

Translated by Smokva Tokyo

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