どん底の10年を味わったシュガー・レイ、「90年代ノスタルジー」の需要と供給を語る

『Celebrity Big Brother』や『The Celebrity Apprentice』、『Celebrity Wife Swap』といった番組の撮影がない時には、マッグラスは90年代のノスタルジアを追い求める流行の波を乗りこなしながら数年を過ごしていた。2012年には、エヴァークリアやリット、ジン・ブロッサムズ、そしてマーシー・プレイグラウンドといったバンドとSummerlandツアーを開催。翌年の夏、マッグラスは1990年代をプレイバックするUnder the Sun ツアーをスマッシュ・マウス、ジン・ブロッサムズらと共に廻った。「小さなゴールに辿り着いたけど、ものすごく大変だった」と、マッグラスは語る。「もう少し大きくなることを願っていたけど、平行線のままだった。もう少し工夫して、再修正したら、また将来このツアーができるんじゃないかな」



2年前、彼はI Love the 90’s ツアーと契約を果たし、TLCやノーティー・バイ・ネイチャー、ビズ・マーキー、モンテル・ジョーダンらとともにアリーナ各所でショウを行った。マッグラスはヒットソングを歌い、存分に楽しんだ。「そのツアーに参加したみんなが、“おい、俺たちはまだ生き残っている。まだ、ここにいる。こんなことができるなんてラッキーだよな。アリーナのステージで今夜ショウをやるなんて!”ってね」

I Love the 90’sツアーは2017年になるとあまりの人気で、2つのショウが同時開催され、昨年は、ソルト・ン・ペパーによってラスベガスの定期公演が開催された。チケットの初動は良かったものの、その後売り上げは枯渇し、ラスベガス公演は数カ月で取りやめになった。マッグラスは「過剰にし過ぎていたんだ」と振り返る。「もう、飽和状態だった。“これが90年代だ!”と言って、人々に投げるだけじゃダメなんだ。特別感を演出しつつ、キュレーター的な役割も果たさないといけない。人々が何を得ているのか、きちんと見せないといけないし、人々が価値を見出し、彼らがいつだってまた来たいと思えるような内容にしなければいけないと思う」

彼はそのやり方について、アイディアがあると言う。「もう一度歯車を作り直す必要はない。俺たちの前に活躍していた人たちは、いつの時代もパッケージツアーがあって、今もそれは機能している。でも1990年代は、本当に様々な要素があった。R&Bやヒップホップ、ロックンロール、パンク、グランジ、そして俺たちのようなバンドもいたし、マライア・キャリーやクリスティーナ・アギレラ、ボーイバンドも……どんな組み合わせにしたらパッケージとして成り立つのか見極めるには困難だし、それを続けようとしたら、もっと難しいことだと思う。俺にはどうしたら良いのか考えがあるけど、それは言わないでおくよ。やってみたいことではあるけど、いろんなジャンルをまたいでしまうからね」

彼はシュガー・レイが最後にヒットを飛ばしてから、20年にわたり音楽の世界で生きていられることがとても幸せだと言う。「カート・コバーンが俺たちの世代だと思っている人もまだたくさんいるけど、それでもいいんだ。俺は今いる場所で幸せを見つける。そしてシュガー・レイのショウを観に来てくれたら、これまでのヒットソングをオーディエンスのために懸命に歌うよ」

Translated by Leyna Shibuya

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