米大統領選に立候補表明の作家、抗うつ剤に関するツイートで炎上

大うつ病性障害の患者には抗うつ剤が効果的だと実証されている

さらに言えば、大うつ病性障害の患者には抗うつ剤が効果的であることも実証されている。アメリカ国立精神衛生研究所(NIMH)によれば、アメリカではおよそ700万人の成人が大うつ病性障害を患っているという。現時点で最大規模の総合研究のひとつ、11万6000人以上の患者と21種類の投薬を使って行われた522件の治験を分析した2018年のメタアナリシスによると、大うつ病性障害の患者に抗うつ剤を投与した場合、偽薬を投与した患者とくらべて効果が一様に表れたことが分かった。効力や受容性(効果をはるかにしのぐ副作用が出たかどうか)の幅もごくわずかだったということだ。

抗うつ剤が万能薬と言っているわけではない。事実そうではないし、抗うつ剤単体で治療するよりも、従来の会話セラピーと組み合わせたほうがはるかに効果的だと推奨する研究団体もかなりの数にのぼる。すべての抗うつ剤がすべての人々に効くというわけでもないし、危険性がまったくないわけでもなければ、うつに悩む人が全員抗うつ剤を飲めばよくなるというわけでもない。ただ、非常に大勢の人々に恩恵をもたらしているのは確かだ。彼らの多くはTwitterでウィリアムソン氏のコメントをフォローし、INeedMyMedsMarianne(マリアン、私は薬が必要なの)というハッシュタグを使っている。火付け役は作家兼活動家のイマーニ・バルバリン氏。彼女がウィリアムソン氏の障害や慢性疾患に対する見解を批判する記事を書いた際、ウィリアムソン氏が反論したのでこのタグを使い始めたところ、またたくまにネット上に拡散した。

うつ病や不安症はよくある病気であり、全世界の若年世代では自殺が死因の第2位にあがっていることを考えれば、精神疾患で助けを求めるのはよくないと大々的かつ執拗に反対する行為は、誤っているばかりか、有害といってもいいだろう。あえて言うならば、ソーシャルメディアで暴言を吐きまくって波風を立てた別の規格外候補者の言葉を借りれば、これこそまさに「フェイクニュース」だ。

Translated by Akiko Kato

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