米政府機関の情報発信に革命起こした「グレート・ベイビー」

ミームによる情報発信の革命

「あまりにも猫が多すぎないか、という話を小耳に挟んだこともありました。それも、目を付けられたくないところから言われたらしくて」とガルボ氏。「それでしばらく猫ネタは控えました。バカバカしいですよね。でもそれだけ政府の広報機関ではハードルがとても高い、ということなんです。そういう理由もあって、他の政府機関はすごく面白がってくれます。みんな僕のところに来て言うんです、『うちだったら絶対許可しなかっただろうな』って。聞くのがつらいですよ。だって僕がやっていることは、政府に関心を持ってもらうための絶好の手段なんですから。そして今ほどこれが重要ななときは他にないと思います」

広い目で見ると、このクリエイティビティの影響力は裾野を広げつつある。CPSCのTwitterアカウントの成功により、他の政府機関や団体がこぞって同様の戦略に飛びついた。ガルボ氏はその中から、彼のお気に入りのソーシャルメディア作品をいくつか挙げてくれた。国立アフリカ系アメリカ人歴史文化博物館、エネルギー省、国立標準技術研究所。そして最後にアメリカ合衆国内国歳入庁。ガルボ氏いわく「ここのInstagramは本当に面白いです」



ガルボ氏が議会図書館に収蔵をプレゼンした際、議会図書館にCPSCのミームへ興味を抱かせたのは、こうした伝達手法の転換だった。デジタル蔵書は議会図書館でも珍しいものではなく、2000年から政府内外のウェブコンテンツが収集されている。ミーム画像も2017年に仲間入りを果たし、議会図書館の米国民俗センターは「Web Cultures Web Archive」ページを立ち上げた。議会図書館の司書のウォーカー氏も認めているが、何年にもわたって政府機関のウェブサイトやソーシャルメディアのページをアーカイブしている過程で、一回きりのミームが数多ふるい落とされてしまった可能性もある。だが、その都度狙いを定めたアプローチを反映した実例という点で、CPSCのミームは他とは一線を画するとと彼女は指摘する。

CPSCのミームは「政府出版物―アメリカ合衆国」の項目に収蔵される。政府が配布したそれら出版物(大半は連邦政府によるものだが、中には州や地方自治体によるものもある)の中には、建国期にまでさかのぼるものもある。こうしてCPSCのミームは政府広報に新たな1ページをもたらした一方、歴史を掘り返すと先例も山ほどある。例えばグレート・ベイビーはスモーキー・ベア(訳注:1940年代に登場した、山火事啓発広告のキャラクター)と同じ流れを汲むものだし、政府はかつて若者にアピールするためにコミックブックも発行していた。それも議会図書館に収蔵されているとウォーカー氏が教えてくれた。

Translated by Akiko Kato

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE