Blackie・フェンダー・ストラトキャスター「ブラッキー」の写真クラプトンといえばこれというほどのアイコン的ギターは1950年代製の黒のフェンダー・ストラトキャスターで、「ブラッキー」という愛称でよく知られている。ブラッキーはクラプトンの歴代ギターの中で最も長い期間メインギターの地位を占めており、1973年から1985年までクラプトンは必ずステージで使っていた。また、ブラッキーは『スローハンド』『バックレス』『ジャスト・ワン・ナイト〜エリック・クラプトン・ライヴ・アット武道館〜』『Time Pieces: The Best of Eric Clapton』など、クラプトンのアルバム・ジャケットに幾度も登場している。
「このギターには摩訶不思議な何かがある。長年、このギターに愛情を注ぎながら優しく世話してきた成果なのだろう。中古のギターや古いヴィンテージギターを好んで手に入れる理由もそこにあるのかもしれない。迷信っぽく聞こえるかもしれないけど、自分よりも前に誰がそのギターを持っていたのか分からないわけだ。その人が巨匠で、そのギターに何か施していたかもしれない。つまり、ギターには持ち主のプレイの仕方や世話の仕方の記憶が残っているようで、そんなギターを手に入れる幸運に恵まれ、その価値を知っていれば、手に入れたギターの記憶を継承しようと思うんだ」
Second Hand© Michael Zagaris / www.ClaptonBook.com 「これはよく知られた話だと思うが……ナッシュビルでバディ・エモンズという有名なペダルスチール奏者が経営しているショー・バッドという店に入った。そこにはいろんな楽器があって、店の前に置かれたリッケンバッカーはけっこうな値段だった。店の奥に中古楽器のコーナーがあって、ストラトキャスターが列をなして置かれていたから、私はそこに並んでいたストラトを全部買ったんだ。そのギターのうち3本を使って作ったのがブラッキー。ボディ、ネック、ピックアップはそれぞれが違うギターのものさ」
Magic© Michael Zagaris / www.ClaptonBook.com Attachment© Michael Zagaris / www.ClaptonBook.com「1本のギターに夢中になってしまうクセがあって、ブラッキーは自分の一部だとすら感じていた。ブラッキーのようなギターに出会えるのは人生で一度きりだろうね。ブラッキーは12年間、毎回ツアーに持って行き、ノンストップでプレイしたよさ」