サンダーキャットと休日課長による夢の日米トッププレイヤー対談が実現。ポップ・ミュージックの進化が続くなか、弦のベースを弾く意味はどこにある? ジャズやヒップホップ、AORなどジャンルの垣根を越えながらベースの可能性を押し広げ、この楽器を象徴するアイコンとなったサンダーキャット 。かたや、ゲスの極み乙女。、DADARAY、ichikoroなど複数のバンドに所属し、そのファンキーかつメロディックな奏法によって今や日本を代表するベーシストの一人となった休日課長。共に超絶技巧を誇りながら、そこに拘泥することなく楽曲の魅力を引き出してきた2人の臨機応変なベーススタイルは、ジャンルや世代を問わず様々なミュージシャンから称賛され続けている。さらに、課長がサンダーキャットの影響を公言してきたのもあり今回のスペシャル対談が実現。ベースへの熱い思いや互いの演奏論はもちろん、「愛、喪失、人生、それに伴う浮き沈み」をテーマに掲げたサンダーキャットの最新作『It Is What It Is』や、Netflixで配信中の『テラスハウス』出演でも知られる課長の気になる恋愛事情(?)についてもじっくりと語り合ってもらった。
●【対談撮り下ろし】写真14点Photo by Kana Tarumiお互いの印象とシンパシー「楽器は言語みたいなもの」ー課長がサンダーキャットを知ったきっかけは?課長:初めて知ったタイミングは正確には思い出せないけど、レコードバーでサンダーキャットの『Drunk』(2017年)を、アナログで聴いたのがどハマりするきっかけだったかな。最初は技巧的な演奏に驚き、聴いているうちにそのサウンドスケープや世界観に魅了されて。とても澄んだ空気感なのに、ビートは強烈というのが新鮮だったのだと思います。
サンダーキャット(以下、TC):わお、うれしいな(笑)。
課長:あと、僕はドゥービー・ブラザーズの大ファンだったので、マイケル・マクドナルドとケニー・ロギンスが一緒に(『Drunk』収録の)「Show You The Way」に参加していたのにも驚きましたね。
サンダーキャット新作『It Is What It Is』の国内盤には、マイケル・マクドナルド参加のボーナストラック「Bye For Now」も追加収録TC:俺もマイケル・マクドナルドは大好きで、「どんな人なんだろう」ってずっと思ってた。「食べるものはきっと、シンプルにサンドウィッチとかなんだろうな」って、当時付き合っていた彼女と話してたんだ(笑)。それで共演することになって、彼のスタジオへ彼女と行ったら、「そこの冷蔵庫にサンドウィッチが入ってるから食べなよ」って言われてさ。
課長:あははは!
TC:こっそり彼女と目を合わせ「ほら、言った通りだったろ」って囁き合ってクスクス笑ってたら、「どうしたの? 何がおかしい?」って不思議そうな顔をしてたな。
Photo by Kana Tarumi課長:目に浮かびます(笑)。あと、昨年9月に
フライング・ロータスの
ライブを観に行ったら、飛び入りであなたが出てきたのにもびっくりしましたよ。
TC:観てくれたんだね、ありがとう。俺もさっき、撮影の合間に君の音楽を聴かせてもらったけど、すごくよかった。リズムはグルーヴィーで、メロディはとてもビューティフル。ミュージシャンシップを強く感じたな。
課長:ありがとうございます!
ゲスの極み乙女。が2020年にリリース予定の最新アルバム『ストリーミング、CD、レコード』に収録される「キラーボールをもう一度」 TC:昨日(取材前日)のテレビの収録も楽しかったよね(NHK・Eテレ
『シャキーン!』で共演)。即興で音を合わせていく企画だったけど、楽器って2つ以上あればコミュニケーションが始まるから、ある意味「言語」みたいなものだね。
課長:確かに。今までは、もちろんステージ上でしかあなたの演奏を聴いたことがなかったんですけど、ああやって間近で聴いたらその迫力に驚きました。あんなに速いパッセージを弾いているのに、音の粒立ちがはっきりしていて。にしても、番組の企画はかなりユニークでしたよね(笑)。
TC:そうだね、今度会ったときは普通にセッションしよう。
課長:ぜひ!