「音楽に何ができるのか?」よりも、「音楽家に何ができるのか?」―日高くんにしろ、Fukaseくんにしろ、星野源さんにしろ、まずは自分なりのやり方で現在の状況を曲にすることによって、視界をクリアにして、次へと向かっている。そういうことを今多くのミュージシャンがやっているのかもしれないですね。SKY-HI:ずっと言ってることだし、これからも言っていくと思うけど、現実をしっかり受け止めつつ、同じくらい気楽じゃないといけないと思うし、思慮深くないといけないけど、同じくらい本能的じゃないといけなくて、そのバランスは絶対5:5がいいと思う。「マジやべえ」って思わなくちゃいけないけど、「これやれば何とかなる」って思う必要もあって、それは絶対5:5がいい。逆に言うと、それくらいしか言えないんですけど。
―「音楽には何ができるのか?」みたいな話になりがちだと思うけど、まずはそのバランスが重要だと。SKY-HI:「音楽に何ができるのか?」よりも、「音楽家に何ができるのか?」のほうが大事っていうかね。で、その中の何十万分の一の意見ではあるけど、作り続けることが大事なのは100%そうだと思う。新型コロナうんぬん関係なく、心の栄養みたいなものがいかに大事かっていうのは、すでに証明されてると思うし。ただ、そこも5:5っていうか、「ファンやリスナー、不特定多数の人のために」っていうのの一方で、「自分のために」が50%は絶対ないとよくないと思う。そこは包み隠さず表に出していきたい。
―5月6日には自宅からワンマンを開催しますが、それも5:5の気持ち?SKY-HI:ホントだったら、スタジオが開くのを待って、照明やカメラ割りまで考えて、「これならできる」ってなってからやるのが正解だとは思います。でも、もうちょっと何も考えずにやりたいというか、「家でやったら面白くない?」みたいなことを軽率に形にしたくて。大義としては、ツアーもフェスも全部飛んじゃった中、GW中にせめて自分のファンの人だけでも楽しんでもらいたいって気持ちももちろんあります。でも、半分は自分のためっていうか、音楽家は家から出ずに仕事できる環境を整えるに越したことはないし、どうせやるなら早い方がいいし。それはちゃんと言っていきたいですね。「みんなのために」ってことだけを言いながら活動していくのは、ものすごく違和感があるから。
―精神衛生的にも、5:5がいいですよね。SKY-HI:そうじゃないと、人のことも助けられない。origami PRODUCTIONSの対馬さんが相変わらず信頼できるなって思うのは、「今自分がお金を寄付することが、回り回って自分のためになるから」ってちゃんと言ってるからで、そういう人は非常に尊敬する。それは通年のテーマな気がするなあ。エゴと善意は5:5であるべきで、それがナチュラルにできてる人は尊敬します。まあ、エゴ100%みたいな人もホント好きですけどね。誰とは言わないけど、行き切ってる時のカニエ・ウェストみたいな。
―ははは(笑)。途中で話に出た「思慮深く前向きでいたいし、気楽にネガティブでいたい」って言葉も印象的でしたけど、それもやっぱり5:5ですもんね。SKY-HI:この先ネガティブになろうと思えばいくらでもネガティブになれると思うんです。でも、ネガティブをしっかり認識したうえで、それと同等のポジティブを捻出していく作業みたいなことが、今人間として一番健康的じゃないかな。で、すべてのクリエイターにとっては、クリエイトを止めないことで、それを達成できる確率がグンと上がる気がする。
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