米ママたちに広まりつつある危険な「脱マスク」思想:「子供たちのマスクを外そう」

Instagramは、同プラットフォームでデマ情報が拡散するのをあの手この手で抑制しようとしてきた。たとえば、無数のハッシュタグをブロックすることで反ワクチンに関する誤報の取り締まりを開始した。今年のはじめにInstagramは、ファクトチェッカーによってデマと判断されたコンテンツをランクダウンさせたり、新型コロナウイルス情報を検索するユーザーのために世界保健機関(WHO)などのアカウントを優先的に表示させたりと、親会社Facebook同様に第三者によるファクトチェック(事実確認)を実施することで新型コロナウイルスに関する誤報をInstagramから取り除くと宣言した。たとえば、#nomasksneeded(マスクは不要)や#maskscauseillness(マスクを着けると病気になる)といったハッシュタグをユーザーが検索した場合、「ワクチンに関する情報をお探しですか?」というポップアップ画面が表示され、米疾病予防管理センター(CDC)のサイトに自動的に転送される。

こうしたインフルエンサーの多くは、伝統的な健康法やウェルネス関連のコンテンツをシェアし、過激派を自称するようなブランディングはしていない。マスク着用に疑問を投げかける投稿は、オーガニックなライフスタイルや有害物質フリーといった内容に隠れているため、こうした考えがノーマルであるとフォロワーは徐々に思い込んでしまう。そして一度アンチ・マスクの穴に落ちてしまえば、さまざまな陰謀論の信者になるのは簡単だ。たとえば、この手のインフルエンサーをひとりフォローするだけで、Instagramのアルゴリズムによって同じような反ワクチンやCOVID-19に対して懐疑的な見解を持つ十数名のアカウントが表示されてしまう。

ブランドやフォロワーが離れるのを危惧して政治的見解を一切述べてこなかった多くの慎重なインフルエンサーたちがアンチ・マスクに方向転換したのはいささか意外だ。しかし、このコロナ禍で全体的にどれほど多くの陰謀論がささやかれるようになったかを踏まえると、その弊害は相当なものだ。「最高のアイデア! マスクを着けている子どもを見るたび、心がチクリと痛くなる——もういい加減にして」とメシュクさんの投稿にはこのような皮肉なコメントも寄せられていた。


Translated by Shoko Natori

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