Aimerが語る、コロナ禍で感じた「生きる意味」と「救い」の感覚

「人生観が変わるほどの悲しみ」

─カップリング曲「悲しみの向こう側」の歌詞は、亡き人への追悼曲のようにも感じました。

Aimer:この歌詞は共作なんですが、タイトルはデモの段階で付いていたんですよね。「悲しみの向こう側」ってすごく惹かれる言葉だなと思ってそのまま使わせてもらいました。

─どんなところに惹かれるのですか?

Aimer:「悲しみの向こう側」って、人によっても捉え方や解釈の仕方も違ってくるのかなと思うんですよ。「悲しみに浸り切ったその先にあるもの」とも取れるし、「悲しみを乗り越えた先に見えてくるもの」とも取れる。しかも「iichiko NEO」のタイアップでもあったので、年代問わず聴いてもらえるような普遍性を持たせたかったんです。「自分の人生観が変わるくらいの悲しみ」って、生きていたら誰だってあるんじゃないのかなと。



─Aimerさん自身は「人生観が変わるほどの悲しみ」を体験したことありますか?

Aimer:ありますね。自分は、その時にはもうそのことしか考えられなくなって、自分の世界を揺るがすくらいの衝撃を受けました。でも、今となってはその先に行けているなと思っています。すごく長い時間をかけて、その悲しみを受け入れたというか、自分の中にあって当たり前のものにしてきたんです。悲しみを「乗り越える」というよりは、自分と一つになり、その後に「断ち切る」感覚ですかね。

ファンの方からも手紙をよくいただくんですけど、そこに書かれている経験って「こんなことって本当にあるんだな」というくらいの出来事だったりするんですよ。実はみんな、話していないだけで誰にでも心の深いところでは、「悲しみ」や「絶望」を抱えている。そのことにも気づかせてもらっているんです。みんな、日記に書き記すような感覚で私に送ってくるのかなと思うんですよ。知り合いでも友達でもないからこそ言いやすいのかなと。私自身は、そういう人たちの助けになりたいという気持ちがすごく大きいですね。

─最も信頼している人にさえ話せないようなことでも、Aimerさんに話すことで、それが作品になって昇華されることを願っているのかもしれないですね。アーティストってある意味「媒介者」でもあるわけで。

Aimer:本当にそうだと思います。そして、私に手紙を書いてくれた人たちのことを裏切るようなことは、絶対にしたくないなという気持ちがすごく強くなってきています。自分自身がちゃんと、筋の通ったことをしなくちゃな、と。それに対してネガティブな気持ちは全くないし、私に気持ちを打ち明けてくれる人たちに対しては、逆に嬉しいというか。「役に立てているのだな」と思います。それこそTwitterで私が毎日呟くことで、みんなと繋がっていることも、巡り巡って自分にとっても意味のあることになっているわけですから。

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