THE HEARTLANDの解散と佐野元春&The Hobo King Bandの歩み



田家:オリジナルは1996年7月発売10枚目のアルバム『Fruits』、10月7日にリリースされる佐野元春さんの『MOTOHARU SANO GREATEST SONGS COLLECTION 1980 - 2004』の中から「天国に続く芝生の丘」をお聴きいただきました。今回のアルバムで興味深かったのが、全曲解説なんです。「天国に続く芝生の丘」の背景も明かされていて、家族関係についてお話されていました。両親の物語だという風にお書きになっていました。

佐野:僕の両親は正式に結婚式を挙げていないという話だったんで、歌の中で結婚式を挙げてあげた。僕を産む前に、父が母にどんな恋をしていたのかということに想いを馳せながらこの曲を書いた。

田家:お父さんは1991年に亡くなられて、そのあと1年間は音楽活動をお休みされた。そして、復帰したアルバムが『Sweet16』だった。ご家族の話というのは、これまであまりインタビューなどでもお話しされてきませんでしたよね?

佐野:音楽とは関係ないから、プライベートの話は避けてきた。

田家:そういう話を聞いてからこの曲を聴くと、やっぱり違って聴こえるかもしれません。

佐野:僕がプライベートな話をすると、あんまり面白いからみんなそっちばかり気にして、音楽を聴いてくれなくなる。

田家:最近ネットではそういうお話をされてますよね。

佐野:まぁ、40周年ということもあって。

田家:お母さんがホスピスで亡くなられたというお話もありましたね。

佐野:亡くなる瞬間までずっと一緒にいた。素晴らしい経験だった。

田家:お母様は東映のニューフェイスに応募して合格していたけども、お父様が反対されてその道を断念していたと。

佐野:それ、別の取材で話したことだ。

田家:そうですね。こういうことを喋られてるんだと思って読みましたね。

佐野:あれはすごく楽しい取材だったね。

田家:そういうことを音楽にされている人なんだ、と改めて発見しました。

佐野:ただ、自分の体験をそのままを書くことはしない。それをトリガーにして誰もが受け取ってくれるような物語を書くのが僕の仕事だ。

田家:なるほど。アルバム『Fruits』には色々なミュージシャンが参加されていて、その中のメンバーには、ベース井上富雄さん、ドラム小田原豊さん、キーボードDr.kyOnさんが参加していたわけですが、メンバーを集める時の基準というのはおありになったんでしょうか?

佐野:それまで一緒にやっていたバンドが解散して2年近く経っていた。周りからもそろそろレコード作ったらどうかと急かされていた。次の新しいバンドのことを考えていた時。それでこの『Fruits』のセッションに入るんだけども、結果的には、この『Fruits』は一つのオーディションを兼ねたレコーディングだった。

田家:オーディションを兼ねていた。それで色々な手応えを見つけられた?

佐野:素晴らしいミュージシャンとの出会いがあった。

田家:そういうミュージシャンと日本を離れてアメリカに渡って作ったのが次のアルバムですね。1997年12月発売のアルバム『THE BARN』から「風の手のひらの上」。

Rolling Stone Japan 編集部

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