T字路sが語るコロナ禍で見つめ直した原点、結成10周年とふたりの新しい旅路

いつもより深く集中できたレコーディング

―新作はいつ頃から録り始めたんですか?

伊東:本格的に録り始めたのが今年の3月かな。そこから7月いっぱいまで作ってました。

篠田:制作期間と言えども、いつもならどうしても何本かライブが入ったりするものですけど、今回はコロナで全部なくなったので、本当にどっぷり制作に入れた。もともと始まったらすげぇ閉じこもるほうなんですが、今回は気兼ねなく閉じこもれて、深く入れた感じでしたね。

―曲はその前からできていたんですか?

伊東:制作に入る前にできていたのは2曲だけで、あとはメロだけできて歌詞がついてない状態。

―去年のキネマ倶楽部で、新曲を2曲披露してましたよね。

伊東:そうそう。「JAGAIMO」と「とけない魔法」の2曲はあの時点であったんですけど。

―いつもなら、先にライブで曲を慣らしてから録っていたわけじゃないですか。でも今回はそうじゃなかったでしょ。いつもより深く集中できる時間があったとはいえ、これだけの新曲を短時間で用意するのはなかなか大変だったんじゃないかと。

伊東:頑張ったでしょ?(笑)。1st(『T字路s』)は結成当初のEPからの再録がけっこうあって、前作(『PIT VIPER BLUES』)は「泪橋」の再録というトピックがあったりしたけど、今回は全部新曲だから、自分でも頑張ったなぁと思って。

篠田:最後のほうは、出た一滴を大事にして、ふり絞る感じだったよね。



―もとも妙子さんはスラスラ曲を書くほうじゃなく、1曲1曲ふり絞るように書くタイプじゃないですか。だから今回も重圧を感じながら自分を追い込んで書いていたのか、それともわりと曲作りの要領がわかってきたようなところもあったのか。そのへん、どうでした?

伊東:要領がわかったなんて言えないけど、曲作りはけっこう楽しくできたんですよ。というのも、私も「妙子スタジオ」を作ったから(笑)。篠ちゃんはずっと前から自宅スタジオがあって、今回また必要な機材とかマイクとかいろいろ揃えてたけど、私は私で篠ちゃんに渡せるデモを作るための小さなスタジオ……っていうか、スペースを部屋に作って。自分で机作ったりとかして、パソコンとオーディオインターフェイスとマイクとキーボードを揃えて、篠ちゃんにデータで送信するためのシステムを作ったんです。それがもう、嬉しくて。テンションあがっちゃってね。そのモチベーションで、2週間で11曲くらい作っちゃったんですよ。

―それはすごい! 11曲ってことは、ほとんどじゃないですか?!

伊東:あ、でもそのうちの半分以上はボツになって、そこからまた作り足したりして。あとは歌詞とメロが同時に出てきて30分でできちゃった曲……サーティーミニッツ・ソングも2曲ありました。

―それはどれですか? 「涙のナポリタン」かな。

伊東:そうです! もう1曲は「宇宙遊泳」。

―あ、そっちはちょっと意外。

伊東:これは出先からウチに帰る20分の間にサビ終わりまでできて、帰って玄関開けて、そのままギターのとこ行ってワーって歌って入れて。そんなこんなでノリノリで作った曲もあるし、チャリンコ乗ってて自然にでてきた曲もあるし、いままでより楽しくできたんです。

―チャリンコに乗るとメロディが浮かぶというのは相変わらずなんですね(笑)。

篠田:マストだよね。

伊東:うん。そのために乗るわけじゃないですけど、日々、生活の足としてチャリに乗って爆走してるんで。全力漕ぎで何キロも移動してるもんですから(笑)。

―全力漕ぎで爆走しているからといって、アップテンポの曲がでてくるわけではないんですね。

伊東:そうなんです(笑)。

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