「おバカでセクシーな女の子」の代名詞が変貌 Z世代が憧れる「Bimbo」とは?

Bimboという言葉に抵抗を示す人も多い

「私は、性の抑圧や既成概念化や『男女こうあるべき』に対抗する手段だと思っているわ」ロンドンで活動するTikTokクリエイター、@bibokateことケイト・ミューアさんはこう語る。彼女の人気動画には、鏡の前でおめかしする映像にこんなキャプションがつけられている。「意識してBimboになるって最高だわ。男性が望む外見どおりになるのと同時に、男性が嫌うもの(自我、性的優位、政治的意識)をすべて体現できるんだもの。盲目的に崇拝されている女らしさを覆してやる」。彼女曰く、既成概念化された女性らしさの視覚的メッセージに、それと背反するようなキャプションをつけて投稿することがこうしたコンテンツの目的でもある。そうすることで、(ストレートや男性の)ユーザーの意識に不協和音や居心地の悪さを生み出すのだ(この戦略はかなり功を奏しているらしい。ミューアさん曰く、彼女が受け取る意地の悪いコメントの大多数はストレートの男性からだという。今回の記事で取材した他の女性BimboTokクリエイターも同じ経験をしている)。彼女にとってBimboTokは「間違いなくフェミニズム運動よ」

こうしたことはどれも、聞き馴染みがあるかもしれない。Bimboの価値決定には、いろいろな意味でアリエル・レヴィ氏の2005年の著書『Female Chauvinist Pigs: Women and the Rise of Raunch Culture』の内容が反映されている。プレイボーイ誌や『ガールズ・ゴーン・ワイルド』の男社会の価値観を内に秘めた女性たちは、しまいには自分から進んで自分をモノ扱いするようになってしまった。実際そうした女性たちには――とくに女性の地位向上の象徴として、さまざまな形の犠牲を何度も何度も経験してきた30代以上のフェミニスト世代には――Bimboという言葉に抵抗を示す人も大勢いる。「世の中的には、Bimboという言葉は口にするのも憚られることとみなされているみたい」。あるツイートにはこう書かれている。「そう呼ばれてきた人たちが、意味を正そうと主張するのは全然かまわない――でも、見た目が超セクシーじゃない人がそういう言葉を使うと、この人は女嫌いなんだろうなって感じがする」

だが予測不能な出来事が延々と続いた2020年、学生ローンや天井破りの失業率にさいなまれている大半のZ世代にとって、Bimbo化はおそらくもっとも健全なストレス発散の一種なのかもしれない。「無知なわけじゃない。ここまで高いレベルの悟りに到達するために、自意識を解放しているんだ」とブルックスさんも言う。「世の中で大変なことばかり起きているのはちゃんとわかってる。でも、かわいい恰好で歩き回る生活をしたいからこそ、そういうのには背を向けているんだ」。彼女たちが美しいからといって妬んではならない――自分が美しくないのはなぜか、自問してみるべきだ。

【画像】17歳の美少女、ビアンカ・デヴィンズの短い生涯と拡散された死(写真8点)

from Rolling Stone US

Translated by Akiko Kato

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