岡林信康とともに紐解く、コロナ禍で生まれた23年ぶりのアルバム

(以下、インタビュー)

岡林:最近は通販で買ったオールデイーズのCDを聴いてるわ(笑)。ザ・プラターズの「Only You」とかレイ・チャールズの「愛さずにいられない」とかああいうの一回やりたいと思ってて、それでこういう「恋と愛のセレナーデ」を遊び心で作って。この歌はコロナに関係ないようだけど、コロナ離婚というのが多くなったのを聞いて。あんなに燃えて一緒になったのに、お互い向き合った途端に別れるっていうのも面白いなというか。恋と愛っていうテーマはどうなんだろうな? ということで生まれてきた歌で。

田家:こんな状態は、どの年代の人も恋愛初期には想像もしなかったでしょうしね。今月は番組で5週間に渡って岡林さんの軌跡を辿ろうと思っているのですが、ポップなものをやろうとした時期もありましたもんね。

岡林:そうです。コロナになる前は、俺が今まで作ったポップな曲っていうのはあまり評価されてないのでね。これをもう一回集めて、松任谷正隆にアレンジしてもらってアルバム作ろうかっていう企画があったの。それがこのコロナで吹き飛んでしまって(笑)。結果的にやらなくてよかったと思うけど。

(以下、スタジオ)

田家:通販で買ったCDを聴いている普通のおじさんです(笑)。岡林さんは携帯もパソコンも持っていないので、ダウンロードとかサブスクというのは一切無縁で、今でもCDを聴かれてます。岡林さんにはポップな歌が結構あるんですけど、そういう面はほとんど評価されてこなかった。それはなぜかと言うと、フォークの神様というイメージがずっとあったからですね。聞き手の中でも、こういう岡林はあまり聴かないという人も多かった。1992年に尾崎豊さんが亡くなった時に、岡林さんは彼のことも歌ってます。これも追々お聴きいただきます。そういうフォークのレッテルに縛られていた人が、実はこんな音楽をやってきたんだ、というのが今回の特集の一つの趣旨であります。ですが、今週はまず新作をお聴きください。お聴きいただいたのは、岡林信康さんの最新アルバム『復活の朝』3曲目「コロナで会えなくなってから」、4曲目「恋と愛のセレナーデ」でした。続いては、先ほどお話にも出た5曲目「お坊ちゃまブルース」です。インタビューは6曲目「アドルフ」と7曲目「BAD JOKE」について伺っております。

お坊ちゃまブルース / 岡林信康

Rolling Stone Japan 編集部

Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE