岡林信康とともに紐解く、コロナ禍で生まれた23年ぶりのアルバム

(以下、インタビュー)

田家:普段、自然の中で畑と向き合ったり、森を歩いている中で、都会の人には分からない自然の変化を感じていらっしゃるんでしょう?

岡林:そうやね。特に最近怖いと思うのは、台風が大型化して。一昨年は俺の家の屋根瓦もちょっとやられたり。畑も風でぐちゃぐちゃに引きちぎられて、茄子とかきゅうりもその後全くダメになったりしてね。去年たまたま台風来なかったからホッとしたけど、台風も温暖化の影響って言われたりしてるからね。うちの庭の隅の大きな水蓮鉢に金魚を飼ってるんだけど、普通、金魚は11月の終わり頃から三ヶ月くらいは冬眠して動かないのに、ここ10年くらいは冬眠してない。だから温暖化というのは本当だと思う。

田家:なるほどね。

岡林:だからコロナが終わると薔薇色の日々が戻ってくるっていう幻想の方が怖いな。台風どうなったとか、南海トラフ大地震って大騒ぎしてたんじゃないなのかとか。こういう気象異常を招いたのも人間の文明だと思うし、そこをちゃんとしないとコロナが去っても薔薇色にならないよと思ってね。コロナでそこを忘れてしまっている感じもするね。

田家:そういう歌を「BAD JOKE」とタイトル付けられていますが。

岡林:というのはね、ツッコまれたら冗談ですよって逃げようと思ってね(笑)。

(以下、スタジオ)

田家:冗談をお聞きいただいておます(笑)。というのは岡林さんのジョークではあるんですが、地球温暖化のバロメーターでよく出てくるのが白熊ですね。でも、金魚が冬眠しないというのは一番身近な温暖化の一つの例でしょう。そういう暮らし方だから感じる、色々な環境の変化がこういう歌になっているんだと思っていただけると、曲が違って聞こえるんではないかと思います。そういう意味では、岡林さんは変わってないなあ、というのがこのアルバムの一番率直な印象ですね。変わってないというよりも、元に戻ったんではないか? フォークの神様と言われていた頃、ロックは重たい言葉を運ぶ。はっぴいえんどがそれを手助けしていたわけで、松本隆さんがプロデユースをした『金色のライオン』の頃の岡林さんを思い浮かべならきておりました。続いて8曲目「冬色の調べ」をお聴きいただきます。インタビューは、「冬色の調べ」と「友よ、この旅を」の2曲についてお聴きいただきます。

冬色の調べ / 岡林信康

Rolling Stone Japan 編集部

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