デスマッチのカリスマ、葛西純が語る人生観「俺の生きてる意味がここにあった」

―当時はどちらかというと、新日本プロレスブームだったと思うんですけど。

葛西:はい、はい。

―この世代の方にお話を聴くと、初代タイガーマスクを見てプロレスを好きになった人が圧倒的に多い印象なんですが、葛西さんはそうじゃなかったんですね。

葛西:もちろん、見てはいましたけどそこまで熱中はしなかったです。小さい頃から、仮面ライダーにしろウルトラマンにしろ、怪人とか怪獣に惹かれる方だったので、そういう意味でも外人レスラーが好きだったんだと思います。当時のタイガーマスクが出てきた頃の新日本プロレスって、すごく煌びやかなイメージがあったんですけど、全日本プロレスはなんかちょっと男くさいイメージがあったので。そういうところで新日本プロレスよりも全日本プロレスに惹かれてましたね。

―アンチヒーロー的な気持ちもあったんですね。

葛西:そうですね。

―ブームがあった半面、あの頃のプロレスファンって、家でも学校でも「あんなのインチキだ」とか言われて傷ついてきた世代だと思うんですよね。

葛西:はい、自分もよく言われました。

―でも逆に、“いかがわしい感じ”が好きだったというのもあって。『狂猿』を見て、葛西さんって良い意味でそういういかがわしさを感じさせるプロレスラーだなと思いました。今のお話を聞くと、葛西さん自身もプロレスにそういう魅力を感じていらっしゃったのかなと。

葛西:逆に、プロレスというものがクリーンなスポーツで、曖昧さの欠片もないキッチリしたプロスポーツだったら、こんなにもプロレスに惹かれてなかったと思うんですよ。ちょっと胡散臭くて、ミステリアスなところもあるカテゴリーだからこそ惹かれたというか。「いったいどうなってるんだ、プロレスって!?」っていう。

Rolling Stone Japan 編集部

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