高田渡作品をベルウッド・レコード創設者と振り返る、老成した歌は若者にしか歌えない



田家:FM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」高田渡特集Part3。今年が17回忌、永遠のフォークシンガー高田渡さんの軌跡を辿る1ヶ月。先週と今週は、ベルウッド・レコード設立プロデューサーの三浦光紀さんをゲストにお送りしました。今流れているのは、この番組の後テーマ、竹内まりやさんの「静かな伝説(レジェンド)」です。

三浦さん、いいことを言ってましたね。老成した人は老成した歌を歌わない。老成した歌は若い人だから歌うんだ。この意味をかみしめていただきたいですね。本当に狂気の人は狂気を歌えない、狂気を歌うためには正気でなければいけないというのに近いかもしれません。1970年代のシンガーソングライターの歌を聞くと、かなり老成してます。自分で書いている言葉もそうですし、作詞として借りてきている詩もそういうのが多いです。これは彼らが若かったことの証かもしれません。若いから若い人向けの歌を歌うのではなくて、自分がどう生きるか考えた時にそういう老成したものの考え方になったり、老成した人の作品に惹かれる、参考になったりするのではないかと思いました。

ベルウッド・レコードというと、サウンドの宝庫として評価されることが多いんですが、三浦さんが言っていたのは言葉。このことを改めて受け止めていただけると、高田渡というアーティストがまた違った風に聞こえるんではないかと思っております。優れたアーティスト、時代を作ったムーブメントにはやはり傑出したプロデューサーがいた。1970年代前半、ベルウッドレコードには三浦光紀さんがいなかったら、ああいう音楽にはならなかったのではないか。そして時代がそういう人を必要とした。皆若かったんです。


三浦光紀(左)と田家秀樹(右)



<INFORMATION>

田家秀樹
1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。
https://takehideki.jimdo.com
https://takehideki.exblog.jp

Rolling Stone Japan 編集部

Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE