RADWIMPSが目指す2021年の「共体験」とは?

プロジェクト立ち上げの経緯

また、3曲目の「棒人間」では複数設置された巨大なスマートフォンのようなオブジェの中に飛び込むと、その中にそれぞれ異なる世界が出現し、一度では遊び切れないような多面性があることも伝わってくる。それ以降もアップデートされた様々な演出の中でRADWIMPSのナンバーが次々と披露されていき、単にリアルとバーチャルを横断するだけでなく、プロローグライブ以上に「体験を共有する」という感覚が強まった印象を受けた。体験会は限られた人数の参加だったが、本番では世界中のプレイヤーが参加し、チャットなどでコミュニケーションが取れると思うと、さらなる期待が膨らむ。

イベント後半では、RADWIMPSのメンバー3人と、PARTYから梶原洋平と眞鍋海里の2名が参加して、トークセッションを開催。まずは落合からの「PARTYにとってRADWIMPSはどういう存在?」という質問に、眞鍋が「デビューから一貫して驚きを与えてくれるアーティスト」であり「体験をどんどんアップデートして行くようなアーティスト」と答えると、梶原は「バンドとスタッフとお客さんの関係性がずっといい状態のまま進化しているバンド」と答え、「今回新しい試みをさせていただくときに、その形を崩さずに、ブーストするような形でその輪に入るにはどうすればいいのかを考えた」と、プロジェクトへの想いを語った。

続いて、落合から今回のプロジェクトがスタートしたきっかけを聞かれた野田は「昨年の緊急事態宣言以降、ドームツアーがなくなって、その後に控えていたワールドツアーも段階的にどんどん中止になり、底知れない悲しみ、立ち直れないくらいのどん底を味わった」と昨年の心境を告白し、「それでも何とか僕たちの音楽を届け続けたいと思ったときに、友達を通じてPARTYのことを知って、全世界の人たちとライブ空間を共有できるのであれば、挑戦したいと思った」と、プロジェクトの始まりについて語る。

さらには、桑原彰が「自分がアバター化するという体験は初めてだったから、客観的に見てもすごく面白いと思った」、野田は「実際のステージで考えると、予算や会場の広さ的に絶対実現可能なことができるわけで、本当に新しいライブ体験だと思った」と、次々に感想を口にして、武田祐介は昨年末のプロローグライブの開催時を振り返り、「SNSで反応を見るとみんな楽しんでくれていて、しかも国外の人とコミュニケーションを取れたという声をよく見たから、新しい場所を提供できたんだなと感じた」と、実感を込めて語った。

また、「制作で苦労した部分は?」という質問に対して、3Dスキャンやモーションキャプチャーによるメンバーの演奏シーン撮影時における苦労が語られ、野田は「繊細な動きを再現するために、僕らは全身黒タイツになって、50個近いセンサーを体中につけて、辱められました」と笑い、「しかも、みなさんが冷静に仕事をしている前で、僕らはパフォーマンスを一人ずつするっていう、あれはホントに苛酷だったよね」と、撮影を振り返った。


©SHIN SEKAI

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE