ジョージ・ハリスン『オール・シングス・マスト・パス』50周年を迎えた名盤の革新性

『50周年記念エディション』の聞きどころ

制作初期のデモを収録した2枚のCD(セッション初日はリンゴ・スターとクラウス・フォアマンを迎えたもの、2日目はアコースティック・バージョン)は、それぞれが作品として独立していてもおかしくない。フィル・スペクターがウォール・オブ・サウンドのレンガを積んでいく直前、キャンプファイヤーの和やかさを思わせるテイクだ。「コズミック・エンパイア」は初期T・レックスを想起させるし、「マザー・ディヴァイン」では愛するパティ・ボイドにセレナーデを捧げている(というか、いくぶん怒鳴っている)。

ボブ・ディランはもともと本作で密かに存在感を放っていたが(「イフ・ノット・フォー・ユー」のカバー、アルバム冒頭の共作曲「アイド・ハヴ・ユー・エニイタイム」)、ここでも1968年に共作した「ノーホエア・トゥ・ゴー」や「アイ・ドント・ウォント・トゥ・ドゥ・イット」のカバーを披露している。




最後の5枚目のディスクには、フルバンドで演奏したアウトテイクを収録。「ワー・ワー」は少し長いバージョンになり、ゴージャスな「イズント・イット・ア・ピティー(テイク27)」はグループの鼓動のように聞こえる。「美しき人生」の最初のテイクは、なぜだかもっと明るく聞こえる。

この素晴らしいコレクションが示すのは、かつてのバンドメイトが自分の意見を貫き通そうとしていたのに対し、ジョージはロック・コミュニティの一員であることを受け入れ、彼らを自分の頭の中に招き入れたということ。ジョージは自分のヴィジョンを支持してくれる仲間たちに囲まれながら、大空に羽ばたいたのであった。

From Rolling Stone US.




ジョージ・ハリスン
『オール・シングス・マスト・パス』50周年記念エディション
発売中

【画像を見る】デラックス・エディション展開図

①50周年記念スーパー・デラックス・エディション(5CD + 1ブルーレイ【音源のみ】)
価格:20,900円(税込)

②50周年記念3CDデラックス・エディション
価格:5,500円(税込)

③50周年記念2CDエディション
価格:3,960円(税込)

④50周年記念スーパー・デラックス・LPエディション
価格:35,200円(税込)

※日本盤はSHM-CD仕様、英文ライナー翻訳付/歌詞対訳付

⑤Uber Deluxe Edition
5LP、3LP、3LP Color

※UNIVERSAL MUSIC STORE限定、輸入盤のみ

日本公式ページ:https://www.universal-music.co.jp/george-harrison/

Translated by Rolling Stone Japan

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