ギタリストichikaとバレエダンサー二山治雄が見せた奇跡のセッション

他ジャンルのコラボによる即興だからこその、スリリングなステージ

2人の自己紹介的なコメンタリーが流れる転換を経て、第二部は二山がメインのパート。両サイドにIchikaと青山が位置し、「misery」では二山がステージを広く使って、しなやかなジャンプやターンを次々と繰り出していく。ギターとドラムの演奏に合わせて踊ることは、当然普段のクラシックバレエとは異なり、また終演後のトークによると、振付は慣れないリモートで行われ、シカゴと日本の時差もあって大変だったそうだが、本番ではそれを一切感じさせない優雅さを漂わせていたのは流石の一言だ。


©Alouette inc.

ワルツのリズムに合わせて軽快なステップを踏んだ曲に続いて、ステージには二山とIchikaの2人が残り、披露されたのはショパンの「前奏曲 第13番」。ギター一本で奏でられるショパンに乗せて、二山が苦悩する主人公を表現すると、2人だけの世界へとより深く沈み込んで行き、催眠的なムードに包まれた「death」のラストでは、二山がステージ上に倒れ込む。ここでIchikaがギターを置いて、ハープへと移動。本格的に練習を始めたのは去年で、人前で演奏するのは初めてというハープの繊細な音色が響く中、二山は再び起き上がり、伸びやかなダンスを踊る。「Eclipse」=日食というタイトルが示す二面性、絶望の先にある希望を表現するかのような、美しい一幕だった。


©Alouette inc.

休憩を挟んでの第三部では、この日初めてスタンディングでICHI10を持ったIchikaと青山がハードロック色強めのセッションを展開し、そのまま即興演奏に突入。まずはIchikaがファンキーなカッティングも交えた自由自在のプレイを聴かせると、続いて青山は緩急をつけつつ、ツーバスを駆使した手数も足数も多い熱量の高いプレイでオーディエンスを大いに沸かせる。さらには、そこに二山も加わって、3人でのセッションに突入すると、二山の身体性が存分に発揮された自由なダンスを披露。他ジャンルのコラボレーションによる即興だからこその、スリリングなステージが展開された。


©Alouette inc.

ラストは再びIchikaと二山の2人が舞台に残り、Ichikaのタンゴ調の演奏に合わせて二山が情熱的なダンスを踊って、貴重な共演が締め括られた。異なる才能が共鳴し合った特別な演目は、Ichikaが目標として掲げる「魂の琴線に触れ、心を揺さぶる表現」に確かに手をかけるもの。終演後のトークでは「またやりましょう」という言葉も交わされ、今後の発展性も大いに感じさせる公演となった。

<INFORMATION>

アーカイブ配信はイープラスにて、22日23時59分までとなります。
配信&アーカイブ期間 10月15日(金)19:00~10月22日(金)23:59
10月22日(金)23:59を過ぎると視聴途中でも配信が終了となります。
詳細は下記の配信チケット販売ページをご確認ください。
E+(イープラス)
http://eplus.jp/eclipse/ ※国内向け配信チケット購入サイト
https://ib.eplus.jp/eclipse ※海外向け配信チケット

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE