the GazettEがこだわった“生”のライブ、有観客ツアー最終日振替公演

今回のツアーの旗印ともなる楽曲「BLINDING HOPE」が意味する“目が眩むような希望”を指すかのように、眩いばかりの照明と輝度の高いレーザー光の中で、RUKIは艶めく歌声を会場に響かせ、時に地の底を蠢くようなグロウルを発した。バンドのヘヴィーなパフォーマンスに応えるようにファンも時に頭を激しく振り、「飛べよ東京!」とRUKIの煽りに対して手を振り上げ、床を振動させるほどのジャンプで応える。間髪を入れずに、激しいギターの高速ストロークと低くうねるようなベースラインが印象的な「ROLLIN’」を演奏。今年5月にリリースした10枚目のアルバム『MASS』において隣り合う2曲を畳み掛けるように演奏し、会場のボルテージを上げていく。


the GazettE(Photo by Keiko Tanabe)

オープニング2曲の演奏が終わった瞬間、また今回のセットリストの各曲の合間においても、観客の鳴り止まないばかりの拍手が印象的だった。1ヶ月以上の延期を経て実現したツアー最終日の振替公演。2019年のライブ以来、2年以上ぶりに体験するバンドのヘヴィなライブパフォーマンス。声援は送れずとも、会場にいたファンそれぞれがthe GazettEに対する強い想いを抱えながら、拍手の手を緩めずに、バンドの1曲1曲の熱量高い演奏を受け止めているようだった。

MCにてRUKIは「待たせたなお前ら。心配をかけました。見ての通りピンピンしているから安心しろ」と万全の状態であることをファンに伝えると、「NOX」「CLEVER MONKEY」「裏切る舌」「HOLD」など新旧譜交えた楽曲を披露していく。久しぶりのライブと言えど、バンドのグルーヴは寸分の隙もなく仕上がっているのが伺えた。

熱狂続くフロアが鎮まりを見せると、「DRIPPING INSANITY」に始まるメロディアスな楽曲たちが披露される。夜空に瞬く星のように煌々と光るレーザーの元で演奏されたのは「THE PALE」。東京ガーデンシアターの高い天井だからこそ、奥行きを生かした照明の演出が映える。幻想的な空間の中で、麗、葵のツイン・アコースティックギターのアルペジオが印象的な「LAST HEAVEN」へと繋がり、会場にいるファンをthe GazettEが奏でる重厚で耽美な世界感へと導く。

本編も終盤、「ガンジスに紅い薔薇」「INCUBUS」と再度会場のボルテージを上げていくナンバーを投下する。「ついてこれるのか! 来いよ!」というRUKIの言葉と共に、「UGLY」「ABHOR GOD」を演奏。メンバーの煽りに呼応するかのように、ファンもヘッドバンギングや力強い拍手、ジャンプで応えていく。そして本編のラスト「UNFINISHED」では、<掛け替えのない 君の手を引いて>と歌いながら強く手を引く素振りを見せたRUKIの姿が印象的で、バンドとファンを引っ張っていくフロントマンの存在感を強烈に見せていた。

Rolling Stone Japan 編集部

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