ボノボが明かす、曲作りのプロセス「ダンスフロアの反応ほど貴重なフィードバックはない」

ボノボ(Photo by Grant Spanier)


偶然から生まれたダイナミクス

ボノボの過去2作品と同様、『Fragments』も瞑想的な音から始まり、多くの楽曲にビブラートの効いたストリングスを多用している(アレンジャー/コンポーザー/マルチ奏者、ミゲル・アトウッド=ファーガソンの影響が大きい)。アルバムの中でボノボは、慣れ親しんだ静かな場所へ何度も帰って行く。アルバムのラストを飾る「Day by Day」は、ストリングスに包まれた子守唄をカディア・ボネイが歌い上げた。ジャミーラ・ウッズとのコラボで先行リリースされたクールなソウル曲「Tides」では、ハープのサンプリングを毎回微妙に変えてプログラミングした「小さいループ」を使って、魅力的なメロディーに仕立てている。



『Fragments』の全体を通じて、ハープは重要な役割を果たしている。「今回のアルバムは、ハープ奏者(ララ・ソモギ)とのセッションから始まった」とボノボは言う。「特にハープ用に作り込んだパートがあった訳ではなく、ただハープの音源が欲しかっただけだった」と彼は明かす。ボノボは、コラボするミュージシャンに予め楽譜を渡して演奏してもらうのではなく、彼らがスタジオで出してくれるさまざま音源を集めて、後で料理するタイプだ。「ピッチを調整したり拡張したりして音を操るのが得意なんだ」とボノボは言う。「アルバムの最初から全体を通じて、ハープ奏者とのセッションから得られたさまざまな断片が散りばめられている」

ボノボのDJセットにマッチした心地よい曲「Closer」には、過去の作品からの音源がサンプリングされている。ボノボは、自身がプロデュースしたアンドレヤ・トリアーナの2010年のデビューアルバム『Lost Where I Belong』から、彼女の囁くような歌声を抜き出した。「過去の音楽からのサンプリングは、かなりメタな感じだ」とボノボは言う。「“これを使ってもいいかな?”と考えたりもするが、自分の作ったビートにしっくりフィットした」となれば、迷う必要はない。




プロデューサーのオフリン (O’Flynn)とのコラボレーションによって生まれた「Otomo」は、アルバム中で最もループが合う一方で、最も落ち着きのない曲でもある。オフリンは、「Mesablanca」(2019年)に代表されるようなフィジーで爆発的なハウスを得意とする。2人のパートナーシップは、偶然から生まれたものだった。「ある合唱団のサンプリング音源があって、ラウドに展開してから元に戻るような構成にしたかった。でもどうやって実現したらいいか迷っていた」とボノボは説明する。「以前から自分のDJセットでオフリンの曲を使っていたこともあって、思い切って彼にコンタクトしてみた。彼とは知り合いではなかったが、第三者のアドバイスが欲しかったのさ。彼には、この曲を仕上げるために何かアイディアはないか尋ねてみた」

ボノボから楽曲向けのファイルを受け取ったオフリンは、曲を「ダイナミックにシフト」させてボノボを驚かせると同時に、大いに喜ばせた。「行き詰まった時は、客観的に見られる第三者の大局的なアイディアが重要だという良い実例だった」とボノボは付け加えた。

2021年の夏、世界中のダンスフロアが本格再開へ向けて一歩を踏み出した。ボノボもDJ業に復帰して、「Otomo」を自分のセットに組み入れた。「評判は上々だった」と彼は言う。「誰もこの曲の正体を知らないが、既に受け入れられた感触を得た。いい感じだ」




ボノボ
『Fragments』
2022年1月14日リリース
国内盤CD:解説付き、ボーナストラック1曲収録
CD/LP+Tシャツセットも販売(数量限定)
詳細:https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=12132

Translated by Smokva Tokyo

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