キャット・パワーが語る名曲の再解釈、フランク・オーシャンや忌野清志郎への共感

キャット・パワーと日本との接点

パスポートとペンが胸ポケットに突っ込まれた『Covers』のアートワークは、「旅」をテーマにしていた前作『Wanderer』との繋がりを感じさせるが、今もっとも旅をしてみたい場所はどこ?とショーンに尋ねると、「日本!」と即答。「食べ物も、服も、テクノロジーも、デザインも、セラミック(陶磁器)も、スタイルも、すべてが優れてるよね。ホテルもいいけど、まだ旅館に泊まったことがないから泊まってみたい。あと沖縄にも行きたいな。沖縄は、パンデミックのときに移住を考えたほどなの(笑)」とまくし立てるくらいなので、おそらくリップ・サービスではないはずだ。

キャット・パワーとしては、2004年の初来日公演以来のべ4回日本の地を踏んでいる。現時点で最後の来日となる2014年の「Hostess Club Weekender」は、本人のミスや途中離脱も多く決してベストとは呼べないヒヤヒヤもの(でも、歌声はパーフェクト)のステージではあったが、去り際にマントを羽織って「イワマノキヨシロー!」と連呼していたことを憶えている読者はいるだろうか。


自身のSNSでもたびたび「I love Kiyoshiro Imawano」と投稿し、「マイメン」と添えてRCサクセションの動画まで貼っていた“忌野清志郎ガチ勢”な彼女だが、2013年の「FUJI ROCK FESTIVAL」出演時に筆者がインタビューした際も、「キヨシローと一緒にやれたら良かったのにな」と残念がっていたのが印象的だった。そこで最後に、こんな提案を投げかけてみた。

―以前来日した際、忌野清志郎について言及していましたね。彼のディスコグラフィーで特に好きな曲は? また、英語詞でも構わないので、いつか彼の曲をカバーしてみませんか。

彼がカバーした「500マイル」がすごく好き。私はバラードが大好きなんだけど、彼がバラードを歌うと、美しすぎて時間が止まる。本当にスペシャルなアーティストだと思うわ。いつかぜひキヨシローの曲をカバーしてみたい。でも、美しい曲ってサッドな曲が多いわよね。私の息子は、私が美しい曲をかけてると、「ママ、それ暗いからやめてよ!」って言うの(笑)。あの子はロックンロールを聞きたがるんだ。

上から「500マイル」のRCサクセション・バージョン、HIS(細野晴臣、忌野清志郎、坂本冬美によるユニット)ージョン。同曲は1961年に発表されたアメリカのスタンダード・ナンバーで、ピーター・ポール&マリーによって日本でも大ヒット。忌野清志郎が日本語訳したHISバージョンは、現在も藤原さくら等が歌い継いでいる。




キャット・パワー
『Covers』
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国内盤CD:解説・歌詞対訳を封入、ボーナストラック収録
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