黒人女性の「死」は白人女性に比べて軽視されている 遺族が警察を提訴 米

ブリッジポート警察署は組織内の汚職が問題に

クロスランド弁護士によれば、現在クローニン刑事は警察の内部調査を受けており、事件はガルシア刑事に引き継がれたという。その週の後、ガルシア刑事は遺族を訪問した。遺族の話では、警察が犯行現場の捜査に足を運んだのはこの時が初めてだったそうだ。だが食器や血痕のついたシーツなど、証拠の大半はすでに片付けられていた。

「初めて行った夜には、カップやひっくり返った皿や潤滑剤がありました。警察はアルコールの検査用にカップをひとつも押収していませんでした」とジェッターさん。「ベッドの真ん中には大きな血痕があって、右側に流れた後がありました」

ガルシア刑事は訪問中、「プロらしくなかった」と遺族は語る。

「彼は『クローニンのばか野郎。事件を投げ出しやがって。ふざけた奴だ』と言っていました」とシャンテルさんは振り返る。「それから私を安心させようと、自分はプエルトリコ系だからあなたの味方ですよ、自分にも娘がいるんです、と言いました」

遺族はようやくブリッジポート警察に話を聞いてもらうことができたが、それは取調室の中だった。ガルシア刑事と向かい合わせに座らされ、遺族は居心地が悪い思いをした。「取調室であのこと(『クローニンのばか野郎』)のことに触れると、刑事は怒りだしました。『私は同僚のことを決して悪くいったりしない』というので、私も『あなたは嘘つきだ』と言いました」とシャンテルさんは言った。

クロスランド弁護士によれば、現在まで証拠はしかるべき経路で提出されておらず、科学捜査班のもとにも届いていない。

アプリ会社Bumbleはクロスランド弁護士の会社CroslandLawGroupに連絡し、遺族を支援すると言ってスミス-フィールズさん名義の慈善団体を設立すると申し出た。今後、クロスランド弁護士と、彼とともに調査するスタムフォードのデヴィッド・ウォールマン氏がBumbleのCEOと面会し、スミス-フィールドさんの死に関してブリッジポート市および/またはBumbleが全面的責任を負うか否かを協議することになっている。

この数年、ブリッジポート警察署は組織内の汚職で非難にさらされている。アルマンド・J・ペレス元警察署長は2018年、署長の地位を守るために職務評価表を改竄し、市から金をだまし取ろうとした計画に加担したとして昨年4月に禁固12カ月を言い渡された。

「この街で生まれ育った人間にしてみれば、ブリッジポートは汚職まみれです。周知のとおり警察署長は刑務所行きになりましたし、5人の公務員が連邦政府から起訴されました。市長は連邦刑務所送りです」と、マリア・ペレイラ市議会議員は記者会見で語った。「警察は4~5年もお粗末な状態です。現在ブリッジポート警察署には100人以上の欠員が出ています」

1月23日はスミス-フィールズさんの24回目の誕生日にあたる。生きていれば、祖母とのギリシャ行きの空の旅にむけて準備を整えているはずだった。代わりに遺族は彼女の死を悼み、市の対応を求めて、ブリッジポート警察署から市庁舎までデモ行進を計画している。一方GoFundMeでは、独立機関による検視など、スミス-フィールズさんの捜査を独自に進めるための募金活動が行われている。そうした捜査費用は遺族が自費で賄わなくてはならない。

「ブリッジポート市にほんの少しでも人間性があれば、『ああ、こうしたことは起きるべきではなかった』と言えたはずです」とクロスランド弁護士。「なのに誰も電話をかけてこなかった。何も行動せずに済ませようとしています。正義が果たされるまで、我々はあきらめません」

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from Rolling Stone US

Translated by Akiko Kato

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