米俳優の性的暴行事件、再審理却下 告発した女性たちの怒り

「人種が理由で標的にされた」というコスビーの主張はおかしい

元プレイボーイバニーのP.J.マステンさんは、最高裁の決定を聞いた後「ひたすらショック状態だった」とローリングストーン誌に語った。「私は毎日PTSDと重度の不安障害に悩まされています――来る日も来る日も、人生ずっとです。私は終身刑も同然なのに、彼は無罪放免だなんて」

マステンさんは1979年、シカゴのプレイボーイ・クラブでバニーガールのマネージャーとして勤務していた時に、コスビーから薬を盛られてレイプされた。彼女のこの時の経験は、A&Eのドキュメンタリーシリーズ『Secrets of Playboy(原題)』の最新話で語られる予定だった。

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最高裁の決定により、収監からほぼ3年後にコスビーを釈放するというペンシルベニア州最高裁が昨年6月に下したまさかの決定は、そのまま維持される。賛否両論を呼んだこの決定は、裁判前に地方検事が内密に不起訴を約束していたことを理由に、そもそもコスビーは2004年のアンドレア・コンスタンドさん暴行容疑で裁かれるべきはなく、有罪判決も言い渡されるべきではなかった、と結論づけた。

コスビーの広報を担当するアンドリュー・ワイアット氏は声明を発表し、依頼人に代わって「最高裁判事に心からの感謝」を述べた。ワイアット氏はコスビー氏の有罪判決には人種が絡んでいたと再三主張してきたが、バーナードさんはこうした解釈を一蹴する。

「コスビーの犠牲になった私たちの1/3以上が黒人女性です。黒人女性の命も大事でしょう」とバーナードさんはローリングストーン誌に語った。「人種が理由で標的にされたという彼の主張はばかげています。彼の弁護団は私たちを――被害者を――リンチ集団になぞらえています。ばかばかしい」

バーナードさんもまた、襲撃を受けた後遺症でPTSDを抱えて暮らしているそうだ。「私たちは犠牲者です。私たちは打たれ強いですが、日々苦しんでいます。ビル・コスビーは私の顔に枕を押し付け、『やめて』と叫ぶのを黙らせようとしたんですよ。彼がなんだかわからない薬を私のスパークリング・シードルにこっそり混ぜたせいで、身体を動かして彼を押しのけることもできなかった。息ができなくて死ぬかと思いました。今でも毎晩寝る時に、枕を見ると記憶がよみがえります。周りは理解してくれませんが、私たちは毎日そういったことに対処しなきゃいけないんです」

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from Rolling Stone US

Translated by Akiko Kato

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