菅田将暉が語る、ものづくりの原点

菅田将暉が愛する“思い出残したがる属性”の人々

ー5年間のラジオを通じてもコラボレーションを数多くされてきてその集大成としてコラージュがここにひとつ完成した、ということがよくわかります。ちなみにご自身以外でコラボレーションをしている方々の作品で、憧れる形などあれば教えていただけますか?

菅田 なんだろうなあ、最近でいうとSTUTSさんと松たか子さんの、ドラマの皆さんのですかねえ、やはり。

ー大豆田とわ子の主題歌(「Presence I(feat. KID FRESINO)」)ですね。

菅田 そうですねえ。あんなの地上波ドラマでやられると……!っていう、ちょっと嫉妬心すらありましたね。ちょうど同時期に僕もドラマをやっていたのもありますし。いや、こっちはこっちであいみょんの最高のパフォーマンスで負けてないぜと思っているんですけど、「こんなこともできるんだ!? 洒落てるなあ……」って。そこはもう、嫉妬と同時に、嬉しかったです。地上波でこういうことをやってくれるっていいな、もっとこういうのを増やしていけるようにしよう、と気が引き締まるというか。あとは全然また違いますけど、KAKATOのみなさんと坂本龍一さんが温泉の歌を作っていたコラボレーションも印象に残ってます。MVで、坂本さんがトイピアノを演奏して、内容はあったかいお湯気持ちいいよねってことしか歌ってなくて、でもかっこいい、みたいな。何の説明もなく見て楽しめちゃう感じ、ユーモアみたいな部分がね。ああやって技術のある人たちがそれを無駄遣いしている姿って、本当にいいですよね。すごくエンターテインメントだなって。

ーそういう自由度の高さから新しいエンターテインメントが生まれるっていうことですね。

菅田 うん、そうですね。楽しい。好きですね、そういうの。

ー最後に、菅田さんがこれまでにいろいろとコラボレーションしてきたなかで、友人でも仕事上でも構わないですが、今の動き方のきっかけになっているような印象的な人との出会いがあれば教えていただきたいです。

菅田 やっぱり石崎ひゅーいくんは本当に存在として大きいなって思います。パートナー感もあるし、結局いちばん落ち着く人。曲作りをしている時はもちろん、一緒に遊んでいる時も含めてね。すごく不思議な落ち着きを感じるし、必ず大事な場面にいてくれる人。たとえば最初にあいみょんに引き会わせてくれたのはひゅーいくんだったし。あと、これは太賀とかにも共 通しているんですが、彼らは“思い出残したがる属性”の人たちで、いつもエモいことをしたがる。『ラストシーン』の制作中、ひゅーいくんに会った時も、いきなり「今日中にレコードプレイヤーと、アンプと、スピーカーと全部揃えたい!」みたいなこと言い出して「え? 今から?」みたいな。あと2時間もすれば店もぜんぶ閉まっちゃうような時間だったけど、そこから一気に買い集めたりして(笑)。音楽やる人だから本当は音とかいろいろ比べたりして決めるものだろうに、最終的に「今日持って帰れるものならなんでもいいんで!」みたいなこと言い始めるあの感じが、僕はすごく好きなんです(笑)。太賀とかも「独身最後の夜、一緒に飲まない?」とか誘ってきてた。



ー刹那を大切にしている様子がいいですね(笑)。だからこそことあるごとに一緒にものづくりをして何かを残しているのだなと。

菅田 なんか、そうなんです。たぶんその感覚がすべてのものづくりの原点として、僕のなかであるんですよね。

菅田将暉
1993年2月21日、大阪府生まれ。2009年『仮面ライダーW』でデビュー。『共喰い』で第37回日本アカデミー賞新人俳優賞、『あゝ、荒野』で第41回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞などを受賞。同作により2017年度の映画賞を総なめし、若手実力派俳優として多方面で活動中。また、同年の活躍が評価され第68回 芸術選奨映画部門 文部科学大臣新人賞を受賞した。2017年から音楽活動を開始し、シングル「見たこともない景色」でデビュー後、「さよならエレジー」はLINE MUSICで2018年年間ランキング1位を獲得。2019年5月リリースの「まちがいさがし」は各所配信ストアにて1位を席巻し、オリコン週間デジタルシングルランキングで自身初の3週連続1位を獲得。2020年11月リリースの「虹」はストリーミング再生1億回超え。音楽アーティストとしても大きな注目を集めている。2021年は映画『花束みたいな恋をした』『キャラクター』『キネマの神様』『CUBE』と4本の作品で主演を務めている。また、2022年にはNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に出演、フジテレビ系『ミステリと言う勿れ』に主演している。
https://sudamasaki-music.com/

<INFORMATION>


菅田将暉 2020-21
SONGS『COLLAGE』
EPIC Records Japan
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